これらの関係をG20を主舞台として描くと……、
(1)G7 米英仏独伊日加
(2)新BRICS ロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、トルコ、イラン、アルゼンチン、サウジアラビア?
(3)その他 インドネシア、韓国、オーストラリア、メキシコ
(2)と(3)の中で米国の言うことを聞きそうなのは韓国とオーストラリアくらいで、(1)と合わせれば9カ国で数としてはほぼ拮抗するが、プーチンと習近平が目の前にいる席でバイデンが「この2カ国と訣別して私に従え」と言えるのかどうか。
新BRICSが「新国際基軸通貨」構想
この新BRICSが米国にとって脅威なのは、彼らが「脱ドル化」に向かって動き始めていることである。サマルカンドでのBRICSサミットでプーチンは、BRICSの国々の通貨バスケットによる新しい国際基軸通貨を創設することを検討中であると表明した。
習近平もこの席で「世界金融システムの支配的地位を利用して世界経済を政治化、道具化、武器化し、やみくもに制裁を加えることは、自らを傷つけるだけでなく他者をも傷つけ、世界中の人々を苦しめるだけだ」「強者の立場に執着し、軍事同盟を拡大し、他者を犠牲にして自国の安全を求める者は、安全保障の難局に陥るのみだ」と、ウクライナ戦争を機に米国がますます独善に傾いていることを強く非難した。
11月のG20サミットでは、こうした通貨を含む多極化世界の運営構想が大いに語られ、米国の孤立が浮き彫りになる可能性が大きいのではないか。(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年8月29日号より一部抜粋)
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