名古屋といえば喫茶店のモーニングの充実ぶり。飲み物を頼んだだけでトーストとゆで卵がついてくるそのサービスは、全国的に有名ですよね。しかし、このモーニングの起源をご存知の方はあまりいないかもしれません。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の中で、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんがその発祥と食文化として定着した理由について紹介しています。
名古屋モーニングの起源は、“ガチャマン景気”。音を立てて押し寄せた、新たな喫茶文化
名古屋といえば、モーニング。全国的に知れ渡った、周知の事実。
喫茶店で飲み物を頼むと、トーストやゆで玉子がついてくる、朝限定のサービスです。
いまや全国から人が集まって来るほどの観光資源だとも言えます。
このモーニングの起源は、名古屋ではなく、名古屋の北に位置する一宮市だと言われています。
一宮市は、全国的にも有名な繊維の街。
街中に、糸を織る機屋(はたや)があり、全国からいろんな業種の人が、打ち合わせのためにやって来ていました。
その際、社内では機械の音がうるさくて、商談ができないため、近くの喫茶店を会議室や応接室として利用していました。
高度成長期でもあり、商談に喫茶店を利用する費用など、気にする必要もないほど、好景気だったのです。
当時の一宮市の活況を表す言葉に、“ガチャマン景気”という表現があります。
糸を織り上げる機械が、ガチャンと音を立てるたびに、1万円儲かると言われたので、“ガチャマン”なのです。
この音が、昼夜を問わず、鳴り響いていました。
そこで働く人びとも、毎日のように喫茶店を利用したので、周辺に喫茶店が増えていったのです。
当然、競争も起こり、その中のひとつ「三楽」というお店が、コーヒーにゆで玉子とピーナツをつけるサービスを始めました。
このお店がモーニングの起源だと言われています。
頻繁に利用してくれる機屋さんへのお礼だったのです。
このサービスをキッカケに、他店でもマネするようになり、トーストがつき、小倉あんがつき、サラダ、茶碗蒸し、味噌汁、おにぎり、ハンバーグ、パスタ、うどん、焼きそば、フルーツ、デザート……と、エスカレートしていったのです。
この喫茶店のモーニングは、名古屋の繊維街にも広まり、やがて愛知県全体へ。
しかし、現在のような食文化として定着したのには、もうひとつの理由がありました。