国会議員より世襲だらけ。有権者が知らぬ「税食い虫」地方議員の実情

 

何を質問すればよいのか──さえ分からない痴呆議員たち!

前述の通り日本では、地方議員の活動が有権者にはほとんど見えない状況です。ゆえに、ロクに働かずとも甘い汁をたっぷり吸っている地方議員がはびこる土壌があります。当然ながら、町村議員よりも、都道府県議会議員や市議会議員は、高額報酬で、町村議と同様に拘束時間の短いオイシイ職業です。約3割が世襲といわれる国会議員よりも世襲が多く、半分超が世襲議員という地方議会まであるそうです。世襲議員ははじめから地盤(後援会など)、看板(知名度)、カバン(資金)の“3バン”が揃い、低投票率であるほど当選確率も高くなります。

地方行政への見識や教養、情熱など何もなくても、選挙期間中だけ「自分の名前」を連呼し、当たり障りのない「スローガン」や「政策キャッチフレーズ」だけ唱えていればよいのです。政党の公認や推薦さえうまく得られれば、当選するのも容易でしょう。地方議員としての資質もないまま当選している人が大半のように見えるのも、あながち間違いではない──というわけです。驚くべきことに、年会費9万7,200円を払って「らくらく質問会員」になれば、定例会4回分の議会質問のサンプルまでつくってくれる『「そのまま質問文」をお届け!』なる会社のサービスまであり、これを利用する地方議員までが存在していました(2015年4月3日付産経新聞記事より)。

都道府県議会議員、市議会議員は「高額報酬」の上に「楽園」のような待遇!

地方議員の報酬額は、「歳費」「期末手当」に「政務活動費(旧政務調査費)」の3つです。政務活動費のない議会も全国に約5割ありますが、都道府県議会、政令指定市議会では100%、一般市、東京23区議会は87%、前述の町村議会でも20%に存在します。地方議員の数は、全国に約3万5,000名います。年間報酬総額は約3,500億円ですから、地方議員には一人当たりで平均約1,000万円が税金から支払われている計算になります。都道府県議(約2,700名)の平均報酬額は年間2,000万円超、市議(約2万300名)が年間平均約850万円、町村議(約1万1,700名)が前述の通り、年間平均約250~400万円程度です。

例えば埼玉県議(定数93議席)なら歳費が月額92.7万円で政務活動費が月額50万円で年間2,190万円にのぼります。さいたま市議(定数60議席)でも歳費が月額80.7万円、政務活動費が月額34万円で年間1,721万円です。政務活動費は、2012年に政務調査費が改称されて使途が拡大しています。調査研究費、人件費、交通費、研修費、事務所費、広報費 などが名目ですが、領収書が不要なケースも多く、所詮は「裏給与」「遊興費」と呼ばれます。地方議会では、歳費や政務活動費を議員のお手盛りでどんどん上げてきたため高待遇になったのです。都道府県議会の平均会期は年間たったの90日前後です。区市議会は80日前後、町村議会においてはすでにご紹介の通り、わずかに40日前後です。しかも議会1回の所要は1時間程度にすぎません。また、地方議員の数に比例して、行政側の議会スタッフの人数も、議員定数が多くなるほど多くなっています(大阪府議会の場合で議員定数109名に対して議会事務局職員数61名)。

議会事務局スタッフの仕事内容は、議員の面倒を見てやることです。資料を揃えてやったり、レクチャーしたり、バカな議員から行政にイチャモンをつけられないよう、至れり尽くせりのサービスで応じます。地方議員はふんぞり返るばかりでしょう。地方財政の厳しい状況に鑑みても、素直にうなずけるスタッフ数ではないのです。このほかに、地方議員は議会に出席するたびに1万円程度がもらえる費用弁償(日当)があったり(年間90回議会に行くだけで90万円)、任期中の海外視察旅行(報告はインターネット情報のコピーですます議員もいます)があり、赤字ゆえに税金投入されている議員年金まで未だに存在している地方議会さえあるのです。いつの間にか、有権者の知らないうちに地方議員の待遇は、これまで議員たち自身によるお手盛りで、非常に恵まれたものにしてきたのが日本の実情だったのです。

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