国会議員より世襲だらけ。有権者が知らぬ「税食い虫」地方議員の実情

 

「二元代表制」はまったく機能していない!

地方議会の内容はどうかといえば、こちらも問題大アリです。なにしろ、議員提案のない地方議会は95%、首長の提出条例案は90%が無修正で通っています。行政に対しての質問のない議会も多数存在します。国会と異なり、専門の委員会数も極端に少なく、ほとんど機能していません。年中居眠りしているのと変わらない議会が多いのです。

二元代表制による行政のチェック機能は、ほとんど働いていないのが実情なのです。ちなみに二元代表制とは、自治体行政の首長と議会議員を直接選挙で選ぶことで、行政のチェック機能を果たす仕組みのことです。残念ながら、日本ではこのチェック制度は機能不全なのです。せいぜい地方議員は、国政選挙の際に、親分筋の国会議員候補の票の取りまとめ支援に駆り出されるぐらいなのです。

日本の地方議会の待遇は「世界の非常識」!

諸外国では、地方議会は土日や平日夜に開かれています。それが世界の常識です。日本人はそれを知らされていません。一般の会社員が、無給か日当制で地方議員を務め、せいぜい報酬は多くても年間50万円程度というのが諸外国の例です。月額ではなく、年間合計での報酬額です。ほとんどがボランティア報酬で、行政をよくしたいという有志が、積極的に地方議員を務めます。

日本のように高額報酬で高待遇にしていると、世襲議員だらけになるのです。日本も諸外国の地方議会を見習って、年4回程度の会期制をやめて通年制とし、夜間や休日に議会を開き、報酬は日当制にすべきでしょう。それなら、報酬総額だって、今より100分の1以下に圧縮することだって可能だからです。日本の現行の地方議員は、もはやその存在理由がない──も同然だからです。今のままなら、ただちに地方議員など廃止すべきなのです。夜に議会を開けば、昼間仕事をしているサラリーマンでも議員が務まります。一定の見識や良識をもった庶民派サラリーマンのほうが、よほど、本来あるべき行政についての意見を有しているはずです。地方議会を「怠け者の楽園」にしている日本の国民は、民主主義の奇妙な幻想を抱かせられているのです。地方自治に「民の声」を活かすシステムが働いていません。地方議員は、のほほんと世襲で当選し、行政のチェックという仕事もせずに、ほとんどが首長の言いなりで賛成票を投じ、税金をガッポリ貪っているだけなのです。

選挙の時だけ、ああだこうだ──ともっともらしいことだけ吹聴しているのです。仕事をしているフリだけです。地方議会のあり方について、いい加減に目覚めないと、この国の衰退がどんどん進んでいくだけでしょう。税金はもっと合理的に、困っている弱者中心に使われるべきなのです。それでは今回は、このへんで。

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投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

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