小林よしのり氏が猛批判。ロシアを擁護する鈴木宗男氏の呆れた「北方領土」発言

 

ところが、このウクライナの歴史的決定に対する日本のニュースの扱いは、極めて小さかった。

しかも報道はしても「日本政府に対して、ロシアへの制裁とウクライナへの支援を継続してほしい意向があるものとみられる」などと、いかにもウクライナ側の「打算」の産物のように示唆する、冷ややかな論調が目立った。

何が何でも「他人事」にしておきたい、どんな事情があろうと戦争にだけは関わりたくない、頑としてお花畑に居座り続けたいという情けない日本人は、まだまだ多いと言わざるを得ない。

とはいえ、関わり合いたくないと逃げる臆病者は、まだマシな方だと言うべきなのかもしれない。

中には「他人事」どころか完全にロシアの側に立って、ゼレンスキーを非難する信じられない人間までいるのだ!

日本維新の会副代表の参院議員・鈴木宗男は、ゼレンスキーの北方領土発言について10日のブログにこう書いた。

「単純に考えれば日本を支持する立場のように見えるが、有難迷惑な話である」

宗男が「ロシアの手先」だということは、知ってる人にとっては「何を今さら」の事実なのだが、ウクライナ戦争開戦以降は、もうそれがなりふり構わぬ様相と化している。

宗男は開戦直後・2月26日のブログで、「ゼレンスキー大統領になってから、ミンスク合意、停戦合意を履行しなかったことが今日の事態を招いている」と述べ、メディアについても、「一方的にロシアを批判する前に、民主主義、自由主義は約束を守るのが基本である。その約束を守らなかったのはどの国で誰かをメデイアは報じないのか」と非難した。

宗男は戦争の原因がゼレンスキーの約束違反であり、正義はロシアの側にあり、ウクライナの自業自得であると決めつけ、その後も何があろうがロシアの立場を正当化する発言のみを続けている。今回のゼレンスキーの発言に対する非難も、その一環である。

宗男は北方領土についても、ロシアの支配を正当化してこう言う。

それは、戦後の国際的諸手続き(ヤルタ協定、国連憲章、ポツダム宣言、サンフランシスコ平和条約等)で、ロシアが現在実行(ママ)支配しており、二国間で解決すべき問題であり、いわんやロシアを刺激しても何も得るものはない。

まず、これが何を言っているのかよくわからない。

普通は「国際法に基づきロシアが実効支配」と書くはずだ。

国際法ではなく「戦後の国際的諸手続き」によって「ロシアが実効支配」とは、どういう意味なのだろうか?

わかりにくいのも無理はない。これは宗男が自分で考えて言っているわけではなく、現在のロシアの主張をそのまんま鵜呑みにして言っているだけなのだ。

「ヤルタ協定、国連憲章、ポツダム宣言、サンフランシスコ平和条約」を基に、北方領土は合法的にソ連に移り、それをロシアが引き継いだというのは、ロシアの言い分そのものであり、鈴木宗男は忠実なるロシアの手先として、それを繰り返しているのである。

国連憲章の「旧敵国条項」には、第2次世界大戦中に連合国が、日本を含む「旧敵国」に対して起こした行動や許可した行為について、国連憲章は無効にしたり制限したりはできないという規定がある。

そして、1945年2月にアメリカ・イギリス・ソ連の間で交わされた「ヤルタ協定」では、ソ連が対日参戦の見返りに南樺太と千島列島を獲得することを約束している。

以上のことからソ連は、国連憲章の旧敵国条項を根拠に、ヤルタ協定の有効性を主張して、北方領土の領有は合法であると言い続けていた。

だがこれは、全くの詭弁である。

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