テレビはなぜ「高齢者の運転が危ない」キャンペーンをし出したのか?

Portrait of one old pensioner man driving and enjoying his new car. Rear view mirror.Portrait of one old pensioner man driving and enjoying his new car. Rear view mirror.
 

テレビを見ていると「高齢者の危険運転」についての報道が多いと感じませんか?メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』の著者で現役医師の和田秀樹さんは、その報道自体が偏向であるとして批判しています。

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テレビの偏向報道

97歳の頭がしっかりした歌人が死亡事故を起こしてまたここぞとばかりに高齢者の運転が危ないというキャンペーンが始まり、高齢者から免許返納プレッシャーが高まっている。

しかし、よく考えてほしいが、今交通死亡事故が減り続け、2021年は2,636人になっているが、それでも一日7件以上の死亡事故が起きているのに、高齢者が起こした時だけテレビで何日も流し、高齢者が危ないと思わせるのは、明らかに偏向報道だ。高齢者だけが危険というミスリードは許されない。

少なくとも高齢者の死亡事故は減り続けている。2021年は高齢者の死亡事故割合が15%になり過去最高だと騒いでいるが、全免許保有者の20%が高齢者なのだから、本来なら20%でもおかしくないのだ。

ついでにいうと75歳以上の高齢者の場合、自爆が4割で、人を撥ね殺す割合は2割をきっている。高齢者が人を撥ねるのはほかの年代と変わらないのだ。

テレビ局のポルシェやBMWを乗り回している連中は高齢者がゆっくり走っているのがうざいかもしれないし、みんなが免許を返納してくれたほうが、イライラしないで済むのかもしれないが、移動の自由は基本的人権だ。

高齢者の事故報道をする際には、かならずその日に起こったほかの死亡事故も報道すべきだろう。

実際、97歳の起こした死亡事故なんか聞いたことがない。でも、97歳以上で運転しているというのは万単位でいるはずだ。むしろそのくらいのほうが安全なのかもしれない。

今回の事故も池袋の事故も暴走事故だったが、ふだん暴走しない車が暴走したとしたら、意識障害の可能性が大きい。

その場合、おそらくは薬のせいなのだろうが、製薬会社に忖度するテレビ局でその可能性を論じる人はいない。

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