統一教会問題の解決にも悪影響か?地裁がオウム解散請求記録を全破棄という大罪

us20220913
 

旧統一教会への解散命令請求に関心が高まる中、オウム真理教の解散命令請求に関する全ての記録が破棄されていたことが発覚し、貴重な資料の杜撰ともいうべき扱いを問題視する声が上がっています。今回のメルマガ『uttiiジャーナル』ではジャーナリストの内田誠さんが、歴史的記録文書の廃棄がいかに罪深く、その愚行により誰が一番困るのかを考察。重要な記録であっても原則5年で処分してしまうという現状に、強い異を唱えています。

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オウム、モリカケ、統一教会…歴史的記録文書の廃棄という罪:「デモくらジオ」(11月25日)から

今日、冒頭でお話申し上げようと思って少し考えてきたのは、歴史的な資料の保存に関することです。

歴史的な資料というと範囲が広くなるので、この間問題になってきたのは、皆さんご存じのような公文書の扱いですね。とりわけ、今回、旧統一教会に対して法人の解散を命令するに至るのかどうかということに関して、文科省が質問権を行使している最中ですけれども、この問題で先行事例と言えば2つあって、オウム真理教のケースと、それから明覚寺という、これは和歌山のお寺ですけれども、組織的に詐欺を働いたということで結局解散命令、法人としての資格を奪うということになった。それよりもオウム真理教の方がもちろん有名でしょう。

で、このオウム真理教の法人格が失われる過程で行われた様々な出来事に関する公的な記録、これが全部廃棄されていたということがわかりました。これ、驚愕の事実ですよね。さすがに時間はそれなりに経っていますよ。経っていますけれど、世界を震撼させたサリンを使ったテロ事件に至る教団の、法的な人格を巡る行政措置の中で、どんなことが明らかになり、どのような理由で解散の結論に至ったのか、それらに関するすべての資料がもう存在しない。

考えてみればこの種のことはこの間、実に頻発していますよね。あの、例の森友学園事件での改ざん、改ざんが行われた件はありましたけれど、それ以外にも例えば自衛隊の南スーダンPKOのときの日誌がないということがありました、後で見つかるのですが、公文書の記録の仕方として実におかしなことがその過程で明らかになってきました。

これ、誰がどう困るのかということを一つ一つ考えてみると、一つは非常にハッキリしているのは、官僚が困るんですよ、まず。どういうことかというと、例えば今回の質問権の行使を巡る行政手続き、これ、初めて踏むわけですよね。で、そのためには旧統一教会の何をどのように質問していくのかについても、過去の事例、これは質問権行使とは違いますが、裁判でしょうが、その内容というのですかね、それを参照しないと…。官僚というのは特に前例主義ですから、非常に困るのだと思います。

今回特にね、問題の大きさの割に、対応する行政の部署が小さいのですよ。文化庁の宗務課というところ。文科省の下にある文化庁の中の宗務課というところ。ここだけでは対応しきれないということで、政府は何をしたかというと、凄いですよ…法務、警察、国税、金融庁、この4つの役所から合計8人の専門家というか、この問題に関して専門的な知見を持つ、要するに詳しい人たちを派遣する。宗務課に加えてその人たちで作業をしている。

直接は質問権をどういうふうに構成するかということなのでしょうが、法人格を失わせるかどうかという非常に大きな行政行為の仕様というか、何をどうしたらいいのかということについて、この4つの役所の人たちが集まっているということなのですね。で、この人たちにとって困るだろうなという気がします。過去の事例についての記録がないわけですから。

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