そして、ロ軍は、大隊戦術群BTGの運用を停止した。通常戦争では、BTGは有効性が低く、もう少し大きな軍構成にした方が良いのと、将官の大量損耗で、BTGを指揮する将官の数が確保できなくなっているようである。士官数も足りない状況であり、どのような構成にするのか、ロ軍は大問題である。このため、動員兵に単純な突撃させて、無駄死にさせている。
しかし、ロ軍の戦死者数は、とうとう9万人に達している。年末までには10万人になる。それに対して、ウ軍によると、ウ軍の戦死者数は1.3万人と大幅に少ないというが、少な過ぎる感じもする。
動員兵を突撃させて、ウ軍部隊の位置を探るなどの使い方で、「砲兵の餌」としての動員兵の戦死者数はうなぎ上りである。動員兵の人権を無視した戦闘方法であり、このような用兵では、戦争反対者が増えることになるし、前線での状態をSNSで知って、母親も妻もショックを受けている。
要するに、戦場に「戦力化された人員」を配置することができていないことになり、ウ軍の攻撃スピードを緩める効果しかない。通信機も時代遅れのアナログ機材であり、ウ軍によって通信傍受が簡単にされている。これでは、どう見ても勝てない。数で押し切るしかないことで、単純な突撃である。
このため、母親と妻の会が戦争反対の署名活動をし始めるなど、戦争に忌避感を持つ人たちが増えている。
このため、ロシア国内での戦争継続賛成者が25%まで減り、和平交渉賛成者が55%まで増えている。
このため、プーチンは、外国の代理人関連法を改正して、政権に批判的な個人を締め上げるようであり、また、言論統制も強化させる。
ロシア連邦カザンでは、給与の支払いもなく、装備もなしであり、「砲兵の餌」だと言われ、交渉にも応じないので、不満を抱いた動員兵たちは、訓練兵舎を出ていった。しかし、現在のロシアには、金もなく、装備もなく、動員兵の不満を解消する手段がない。
しかし、来年1月には追加の動員令があり、70万人規模の動員になるという観測が出ている。動員兵を前線に出して、「砲兵の餌」としているが、その餌が足りなくなるからだという。
これに対して、ロシアのペスコフ大統領報道官は、併合したウクライナ東部や南部の防衛のため追加動員があり得るとの観測は否定した。
このような状況から、バイデン米大統領は、プーチンが戦争を終わらせたいなら会談をするとした。しかし、ロシア大統領府は、ウクライナからの撤退が条件なら、交渉はしないと言う。
そして、プーチンは停戦交渉に関心がなく、軍事的勝利を追求しているが、誰も本当の戦況を報告していない可能性がある。このため、当分、戦争が続行されるしかない。ロシアのぼろ負けをいつ悟るかでしょうね。
もう1つ、ロシアは、お金が欲しいので、ウクライナを通過する石油とガスの輸送の保証と引き換えなら、ザポリージャ原子力発電所から撤退するとした。
そして、同発電所はウクライナに移管するかIAEAの管理下になるようだ。これで、双方が砲撃したという非難する事態はなくなる。
しかし、ロシアが合意事項を履行するかどうかは、不明である。
さあ、どうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2022年12月5日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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