他国の説得も効果なし。プーチンが打って出る「ゼレンスキー斬首作戦」

 

ただ、懸念材料は落ち目の中国経済成長率とコロナ感染の再爆発です。新体制ではこの対応は、李克強首相の次の首相になると思われる李強氏が担うことになるようですが(すでにコロナ対策の責任者になっている)、李強氏は中央政府での統治機構の一部の経験はなく、また副首相として部門の責任者を務めた経験もない上に、経済政策に疎いと言われていることから、中国の非常に巨大な経済を国内外向けにハンドリングすることができるか未知数だと言われています。ここは非常に優秀な経済政策のブレーンが就くことを期待しましょう。

コロナ対策については、昨年、急にゼロコロナ対策を撤廃し、その結果、外出規制もボーダーコントロールもなくなりましたが、結果としてコロナ感染の再爆発を経験することとなりました。李強氏および中国政府はこの対策に成果を出さなくてはなりませんが、前途は多難と言われています。

ただ習近平国家主席がこれまでのようにコロナ感染の抑制に力を入れている様子はなく、高齢者偏重型のコロナ対策(高齢者層の感染防止に重点を置く)を改め、中国経済の成長率の回復に軸を移したと情報もあるため、今後、どうなるかはわかりません。

しかし、中国の感染拡大を受けて、日本をはじめとする各国が中国からの直行便での入国者に対する規制を厳格化することを決めたことで、中国政府が期待したほどのものと人の移動の再開による経済へのブースター効果は薄れるかもしれません。

とはいえ、これはお互い様となるでしょうが、まだ各国はwithコロナを叫びつつも、感染の再拡大を経済よりも重要視していることが見えてきたかもしれません。

もし中国・習近平体制が描く2023年から5年間のシナリオが崩れるとしたら、このコロナをめぐるハンドリングと李強氏の経済政策の手腕のまずさが原因になるかもしれず、その場合は、台湾をめぐるタイムラインにも狂いが出てきます。

ただ変わらないのは、恐らく習近平体制第3期の間に中国人民解放軍の軍事力は質・量ともに拡大し、アジア太平洋地域(インド太平洋地域)においてはアメリカ軍とその仲間たちの能力を超えてくるという見通しです。

アメリカ軍と違い、世界展開はしないものの、アジアにおいては強大な軍事力を築き上げ、さらに戦略運用能力を向上させることで、アジアにおける安全保障上のパワーバランスが変わり、アジアをめぐる地政学的要素も大きく変化することになるでしょう。

岸田内閣が閣議決定した安保3文書の内容は、このような懸念と現実を踏まえてのことと思われますが、財源確保の方法などまだ議論が多くある中でいかに早く実効的な枠組みと体制に落とし込めていけるかが、今後の日本をめぐる安保環境を占う大きな要素と言えます。

それによって、間接的にではありますが、もしかしたら台湾の運命も左右することになるかもしれません。

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