他国の説得も効果なし。プーチンが打って出る「ゼレンスキー斬首作戦」

 

【国際経済は成長軌道に戻ることが出来るか?】

コロナのパンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻、世界的な気候変動災害…様々な要因・災害・戦禍が国際社会の連携を分断し、経済的な回復を阻んでいます。

ウクライナ戦争に際して導入された対ロ経済制裁は、ロシアを苦しめる以上に、途上国を苦しめ、世界的な穀物や物資の供給網を混乱させています。

エネルギー価格は高騰し、欧州各国では特に異常な値上がりで市民生活を直接的に襲っています。今年はアメリカなどからのLNG緊急輸入で何とか冬をしのげそうな感じですが、アメリカの供給能力もいっぱいの状況で、カタールやオマーンからのLNGsも欧州各国と日本などとの間での争いとなり、価格が高騰しています。

恐らく欧州各国の今年2023年の冬は、このままではかなり厳しい状況に陥ると予想されています。

また戦争ゆえに、世界の穀物庫とも呼ばれたウクライナの2022年の収穫はなく、また作付けもできていないため、2023年以降の収穫は見込めません。また黒海経由の輸送もまた実質的に閉鎖されている状況で、それにより穀物価格が高騰し、これはまた欧州、アフリカ、アジア諸国の食糧供給に大きな負の影響を与えています。

エネルギーや穀物の供給不足の穴を埋めているのが、実はロシア産のガスであり、小麦ですが、これらは欧米諸国とその仲間たちが敷くロシア包囲網をくぐり、中国、インド、トルコ経由で各国に売りさばかれていることもあり、じわじわとロシアサポーターが増えてきています。

「ロシアの侵攻は許せないが、世界の供給網をめちゃくちゃにした国々も許せない。ロシアは今、その穴を埋めようとしている。でも欧米諸国とその仲間たちは口だけで、何もしてくれない。背に腹は代えられない」

このような声が聞こえてくる中、2023年の世界経済は?

アメリカは2022年のインフレショックをほぼ脱し、2023年は回復基調に乗ると思われ、利上げもそろそろ打ち止めされるとの期待から、経済は拡大傾向になると見ています。

EUおよび英国は恐らく先述の通り、2023年は一人負けする経済となるかもしれません。一向に解決策が見つからないエネルギー安全保障、中東諸国が増産に協力的でないこと、食糧の供給も不安定で、インフレは収まる気配がないという分析から、私は悲観的に見ています。

日本については、エネルギー価格の問題やインフレの影響は懸念材料としてはあるものの、大きなショック状態には陥らず、現状維持か(何とか生き残るか)または米国や中国などの経済状況の展開によっては、成長基調にのると思われます。

では中国はどうでしょうか?先述の通り、経済の司令塔の不在は不安材料と思われ、かつてのような高成長率は望めないものの、ロシアとの経済的な連携の効果とロシアの資源・穀物の窓口的な役割を強化することから、国家資本主義圏を中央アジア、中東諸国、アフリカ、そしてラテンアメリカ諸国に広げていくことが予想されることから(反対に中東欧におけるプレゼンスは下がるが)、新体制によるかじ取りに市場が慣れてくるころからは回復・成長基調になると予想します。

国際情勢を見る際、必ず経済的な見通しもいろいろな角度から検討しますが、私はその専門家ではないと感じていますので、経済予測はこのあたりで。

以上、国際情勢の裏側でした。

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