他国の説得も効果なし。プーチンが打って出る「ゼレンスキー斬首作戦」

 

ここで注目するのは、自国との国境に近い町で、かつポーランド系が多く住むとされるリビウ周辺を攻撃されているにもかかわらず、ポーランドが全くと言っていいほど反応しておらず、ワルシャワでは「ロシアの攻撃がポーランドに“再び”及ぶことはないと確信している」という見解が出てきていることでしょう。

第2次世界大戦時にはナチスドイツとロシア両方に蹂躙されているポーランドですが、NATO加盟国であるがゆえにNATO憲章第5条の存在ゆえに安心しているのか、それともNATO加盟国でありながらロシアともコミュニケーションがあることが分かってきた中で、プーチン大統領から何らかの約束を取り付けているのかは分かりませんが、調停チームとともに様々なシナリオを準備している際に、このポーランドの沈黙がなぜか腑に落ちない状況です。

そのような中、一つ分かってきたのは、ロシア側が大規模な攻撃を準備しているということです。以前にも触れましたが、ベラルーシ国内も含めると、ウクライナを囲む形で約54万人の兵力が配備されており、そこに重装備の戦車、精密誘導ミサイル、核搭載可能な爆撃機や戦闘機、電波妨害用の兵器などが集結しているようです。

また、プーチン大統領からの依頼に対しても参戦を渋ってきたルカシェンコ大統領(ベラルーシ)も、先日、ウクライナからと思われるミサイルが国内に着弾したことから、覚悟を決めたのか、ロシアの核兵器の配備に加え、ロシア軍にベラルーシ領内の通過と駐留を許可し、そしてベラルーシ軍の参戦にもゴーサインを出した模様です。

これまで行われてきたインフラと輸送路の徹底破壊に加え、ついにターゲットをゼレンスキー大統領他、政権幹部に向けた“作戦の第3段階”(リーダーシップの打倒)に移す模様です。

アメリカや欧州各国はその実施を思いとどまるように伝えているとされていますが、ウクライナ国内に限った攻撃である場合、NATOが直接的に手を出すことはできないというジレンマの前に、実質的に何も効果的な手を打てていないようです。

アメリカやフランスが高性能の先頭車両を供与するとの情報もありますが、国内で高まる“ウクライナによる武器管理体制の不透明さ”に対する懸念が決定を遅らせているようで、時期・規模共にウクライナの助けとなりうるかは微妙な状況です。

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