中国で高齢者が一人暮らしをすると「周りからの視線が痛い」理由

Portrait Of Multi-Generation Chinese Family Relaxing In Park Together
 

日本人は家族の間に一定の社会的距離を置いている。大学卒業後、子どもたちは一般的に独立し、親とは時々連絡を取り合い、年末年始は親の強い希望で帰省するだけ。以下は、家族間の距離感の例である。

当方の知り合いに、中国と日本の国際結婚の夫婦がいる。奥様は日本人で、ご両親は海外から東京の娘さんの実家に遊びに来たのだが、娘さんの自宅ではなくマンションのゲストルームに泊まることになったそうだ。

中国人であるご主人は「義父母が娘の家に泊まらないのはちょっと…」と違和感を覚えたらしいが、奥様は「父と母はゲストルームに泊まって、夕食の時だけ来てもらう方が気楽でいい」と話した。

そして、夫の両親が中国から日本を訪ねてきたときだけ、夫は「中国人が両親をゲストルームに泊めたら親不孝者と言われるよ」と、自分の家に両親を泊めるように妻を必死に説得した。妻はこの文化の違いを受け入れざるを得なかったという。

日本人の社会的な距離感は、お金の扱い方にも表れている。「親兄弟明算帳」という中国の諺があり、日本人にぴったり当てはまる。兄弟でも、お金のことはきちんと清算しなければならない。親子の仲でも金銭は他人ということ。

日本人の友人同士で食事をする場合、争って支払いを急ぐ中国人と違って、基本的にAA制だ。レストランで恋人同士が親密な会話を交わし、最後に会計の際に、それぞれが財布を取り出し、テーブルの上のコインを数えて支払いを分担する姿は圧巻だ。

普段、白髪のお年寄りが前かがみになって、買い物カゴをゆっくり引きずっている姿に出会うことも少なくない。たとえ足が不自由でも、自立して前向きに少しずつ足を運ぶ。多くの高齢者はシルバーカー・ショッピングカーを使って、普段買い物に出かけている。

現在、日本では65歳以上の5人に1人が一人暮らしをしており、一人暮らしの高齢者は600万人を超えると言われている。では、彼らは体調が悪くなった時、どうすればいいのだろう。子どもたちは、サービスを利用して親の様子をうかがうこと。例えば、テレビCMでもよく見ていることだが、警備会社や運送会社の方が高齢者の自宅を訪問し、一人暮らしの高齢者の情報をタイムリーに子どもたちに送ってくれる。

ここ数年、日本では一人暮らしの高齢者を狙った詐欺がよく発生している。高齢者の息子や孫を装い、電話の向こうで「俺だ!俺だ!」と叫ぶ。そして、「交通事故などで困っている」「お金を貸してほしい」と言う。すると、それを信じて実際にお金を送ってくれるお年寄りもいる。なぜ、高齢者は自分の息子や孫の声すら認識できないのか。このように、家族間の疎外感は明らかである。

つまり、日本人は人との触れ合いの不足を、社会福祉やビジネスサービスの向上で補っているのだ。中国人は困ったときに仲間や友人に相談し、日本人はそれに対応するサービスを提供できる仲介者に助けを求める。

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