学校が勝ちました。
その理由は以下の通りです。
・給与計算業務においては賃金の支払日の近くで減額事由がおき、減額不能または計算未了となることはある
・また、給与計算において間違いにより賃金の過払いが生じることがあることは避けがたいことである
・それらが起きた際に、それらを調整するために、後に支払われるべき給与から控除できるとすることは合理的理由があると言える
・その場合の控除は、過払いのあった時期からあまり離れすぎない時期とし、あらかじめ労働者にそのことが予告され、その額が多額でない、などの場合でなければならない
いかがでしょうか?
実務的には過払いした給与を後の給与で精算することは決してない話ではありませんし、その際に拒否されることは通常はまず無いでしょう。
よって今回の判例はそれほど気にしなくても良い内容かも知れませんが「天引き」という広い意味では重要なポイントがあります。
天引きには大きく分けて以下の3パターンがあります。
1.「給与計算の過払い等の調整」
2.「自社商品の購入、まかない代等の天引き」
3.「遅刻等の罰金的な天引き」
まず1.については今回の裁判例の通りですが2.についても天引き自体は問題ありません(もちろん自社商品を強引に買わせていたり、その額が給与と比較して多額だった場合は問題になることはありますが、話がそれてしまいますので今回は省略します)。
ただし、この場合は「賃金控除に関する協定書」を作成する必要があります(労基署への提出は必要ありません)。
ここで問題になるのが最後の3.です。
これは実は結構ご相談をいただくところなのですが例えば「1分遅刻→1分分の給与を天引き」であれば問題ありません。
ただし、1回の遅刻に上記以上の一律の金額を天引きすることは、法律上認められていません。
「懲戒処分として平均賃金の一日分の半額を天引きできないか」というご相談もあったりはしますが1回の遅刻に対し、そこまでの懲戒処分ができるかというと法律的に認められるケースは非常に稀でしょう。
このように「天引き」といってもいろいろな種類がありますのでそれぞれにあわせて対策をとっていく必要があります。
みなさんの会社はいかがでしょうか。
image by: Shutterstock.com