AIには真似できない、日本人が今こそ身につけるべき立ち振るまい

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次はお辞儀です。お辞儀には立ったまま行う立礼(りつれい)と座って行う座礼(ざれい)があります。

立礼は「浅い礼」と「普通の礼」、「深い礼」があります。剣道で「互いに礼」という場合は「浅い礼」です。上半身は伸ばしたままで、背中を丸めずに、腰から約15度で身体を折ります。この角度なら、上目づかいに相手を確認することができるので、もし、突然切りかかられても対応できるということです。

「普通の礼」は約30度の角度で礼をします。剣道で立った姿勢で「神前に礼」「正面に礼」という場合は「普通の礼」をします。視線は自然に下げます。

「深い礼」は、約60度でお辞儀します。お客様をお見送りする場合などに使われる深々としたお辞儀であり、武道ではあまり使われません。

次に座礼について説明します。小笠原流の座礼は「九品礼(くほんれい)」といって、9種類の礼があるとされています。剣道などで使われる座礼は、その中でも最も深い合手礼(ごうしゅれい)と呼ばれる最敬礼です。

座礼は、正座の姿勢から、背筋を伸ばしたまま、上体を前傾させていきます。このときに、使うのは股関節だけです。頭は真っ直ぐに上体に乗せたままで、首を曲げたり顎を上げたりしません。

上体を折りながら、腿の上の手は自然に前に押し出され、膝の横に添って、膝の前で両手の人指し指の先が接し、正三角形を形成します。両手はぺったりと床に付けるのではなく、手のひらに自然な丸みを持たせます。

屈体しきった時には、胸は自然と両腿につき、頭は顔面が床と水平になるように保ち、床から5センチくらい離します。また、腕は手から肘までが床につくようにします。両脇は軽く締めて、両肘を横に張らないようにします。両腕の前腕は両膝の外側につけます。

座礼で手を出す順序については諸説あります。剣道では左手から出して、右手から上げるとすることが多いようです。杖道では両手を同時に出して、同時に上げます。小笠原流では右手が少しだけ先行し、上げる時には左手が先行するとされています。

個人的には、両手が同時に動くより、少しだけ左右の動きをずらした方が美しいと思います。また、左手が先行して床につけてしまうと、脇差しを抜く時に左手で鯉口が切れない、ということで、小笠原流のように右手を先行して出し、左手を先行して上げる方が理にかなっていると思います。

しかし、あえて刀を簡単に抜けないように、左手から出すという考え方もありますし、左手は右手の上位にあるので、左手が先行するという考え方もあります。

最終的にはその場のルールや解釈を確認した方が良いでしょう。

お辞儀の時間は、深い礼でも、浅い礼でも同じです。「礼三息」といって、吸う息で身体を折り、吐く息だけ姿勢を維持し、吸う息で起き上がります。

座礼では、息を吸いながら上体を屈体し(2秒半)、吐く息で静止し(3秒)、再び吸う息で上体を起こしきります(4秒)。

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