日本が世界の笑い者に。G7首脳へ岸田が振り付ける“時代遅れのダンス”

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自身の地元・広島での開催とあって、G7サミットの成功に並々ならぬ意欲を見せる岸田首相。しかしながらG7自体の存在価値を疑問視する声が上がっているのも事実です。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、もはやG7は時代錯誤としてそう判断する理由を解説。その上で、「G20こそが現在の世界の問題を協議する場に相応しい」との持論を記しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年5月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

中国もインドも不在。もはや存在価値失くした「G7」にしがみつく日米

岸田文雄首相は、統一地方選・衆参補選のまずまずの結果に勢いを得て、5月19日からの「G7」の成功に全力を注ごうとしている。

そこで想定される「成功」とは、盟主である米国の意を受けて、日本が「西側先進国」のまとめ役となって憎きプーチン露大統領に最大限の非難を浴びせ、返す刀でそのロシアに同情的な中国を牽制して台湾侵攻を許さない覚悟を示すことにあると見て間違いない。しかしそのような設定は、二重三重に間違っている。

G7に「世界に偉そうなこと」を言う資格などあるのか

まず第1に、G7そのものが20世紀の遺物であって、21世紀の課題を解決するための指導的な国々の会合の枠組みとして今も、そして将来にわたって有効であるかどうかは大いに疑問がある。そのような指摘はすでに散々為されてきたが、一例を挙げれば、米ペンタゴンに直結するランド研究所の上席政治分析官のマイケル・マザールが2018年6月に書いた「我々が新しい国際秩序を必要としているその理由」(*1)がある。当時本誌はそれを紹介しているが(*2)、その時彼は2016年の世界経済の景色と2050年までに予測されるそれとを比較する2枚のチャートを並べて示した〔図1図2〕。今となると数字はやや古く、また将来予測の数値も違ってきているかもしれないが、細かいことにこだわらずに全体のイメージを捉えて頂きたい。

(*1)「We Need a New International Order. Here’s Why
(*2)INSIDER No.949=2018/07/02「10年以上前から始まっていた『米国の没落』2020年には中印に遅れ

図1は、2016年の購買力平価(PPP)方式によるGDPの大きさを表していて、この方式ではすでに中国が米国を抜き、インドが日本を抜いている。とはいえ、このトップ9のうちG7国は5カ国を占めていて、「先進国」という言葉がまだ完全には死語化していないことを示している。しかし図2の2050年予測となると、米国は中国ばかりかインドにも抜かれて第3位であり、その後にインドネシア、ブラジル、ロシア、メキシコが続き、日独英仏はその後塵を拝している。

世界構造がこのように変容していくことが避けられない中で、それでもG7が集って21世紀の諸問題について偉そうなことを言おうとするのは、如何なる資格認定によるものなのか。それをきちんと示して世界の人々を納得させなければならない。

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