ムダの極致「PTA」は即廃止せよ。絶望的な“現状維持型”組織が対応できぬ5つの大問題

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かつてはそれなりの役割を果たしてきたとされるも、今や多くの保護者から忌避される存在となっているPTA。何がこの現状を招いたのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、PTAが直面している5つの問題を列挙。それらに真摯に向き合わない限り組織の将来はないとしつつも、「現状維持型の彼らに自己改革は困難」との見方を記しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年5月23日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

終焉に向けひた走るPTA。現状維持型人材が結集した団体の悲劇

PTAの評価が大きく揺らいでいます。そんな中で、ここ数年、個々の家庭がPTAから脱退するだけでなく、学校の中でPTAを廃止するとか、更には広域圏のPTAの連合組織が日本PTA全国協議会(日P)から脱退するなどの動きも出ています。

そんな中、この夏、8月には日Pの「全国研究大会、広島大会」が開催されるのですが、その企画の中にある研究者の講演が予定されているとして、問題になっていました。一部の日P関係者によると、その講演の演者は「『男性脳・女性脳』といった言葉を強調した言論活動をしてきた」のだそうです。そこで日Pに対しては、講演の企画の経緯や理由を問う「公開質問状」が送られたとして、朝日新聞(電子版)が報じていました。

そこで、その「広島大会」の内容を調べてみました。確かに日Pの会報にあたる『日本PTA』にはその分科会の構成が書いてあります。また、前年度に山形で行われた大会の詳細や、各ブロックでの研究大会の内容も出ていました。

驚いたのは、その内容です。いい例が昨年の山形大会ですが、「第1分科会『学校教育』、迷わない子育てはない!子育ての悩みを共有できるPTA活動」に始まって、10の分科会があったのですが、そのどこにも「PTAの危機」について触れているものはありませんでした。各地のブロックでも
そうですが、今回の広島でもそのようです。

今、全国のPTAは危機的な状況にあります。具体的には、次の5つの問題に直面しているのです。

(1)なり手がいない。イメージが悪い。くじ引きで負けた人が役員になるという情けない組織に対して、多くの家庭では裏で親子で悪口を言っている。

(2)そもそも「共働き時代」への対応が完全に欠落している。

(3)ベルマークをチマチマ切り抜いて台紙に貼るなど、全く時代遅れで非生産的な活動。DXへの対応ができていない。

(4)ジェンダー平等の思想にも対応していない。

(5)会費の学校へのダイレクト寄付や、多くの会員保護者が不快に思う酒席などへの支出など、カネの流れへの厳しい目がある。

仮に、日Pがこれからも教育界で「役に立ちたい」と思っているのなら、この5つの問題に対して真摯に向き合い、自己改革をしないと組織の将来はないのではと思います。

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