プリゴジンの蜂起を期待するFSB内の若手シロビキ
エフゲニー・プリゴジンは、「エリートは自分たちの子供を戦争から守り、庶民の子供が死んでいく状態が続けば、ロシア革命(1917年)がまた起こる。まず兵士たちが立ち上がり、その家族たちが立ち上がる」と言い、「我々はウクライナを非武装化しようとした。結果は逆だ、ヤツらを武装集団に変えてしまった。今のウ軍は最強だ!」とし、これまでに「ワグナー軍の兵士2万人以上が死亡した」と明かしている。
そして、「激戦地バフムトから撤退を始めた」と発表した。プリゴジンは、ロシアの国境守備が脆弱であると不安感を煽って、その対応ができるのはワグナー軍だと強調した。
それと、ロシアのベルゴロドでプリゴジンの選挙キャンペーンのポスターが貼られ始めているようだ。塹壕に籠ってばかりの臆病なリーダー、プーチンとは違い、リーダーとして戦争の前面に立つ姿があるからだ。もう1つが、ロシアの現状を正確に見通していることである。
これに対して、プーチンは26日、クレムリンで開かれた経済団体代表らとの会合で、欧米制裁や欧米企業撤退で打撃を受けた経済を立直す「5カ年計画」作成を提案した。5カ年計画は、国家主導の計画経済の手法で、冷戦下の経済封鎖に対抗したソ連時代の経験を基に生き残りを模索する。
長期の戦争に備えるためには、ロシア経済の立直しは不可欠であるし、中国などの友好国を1つでも多く獲得する必要がある。
経済面でのプリゴジン氏は、無力であるから、そこをプーチンは、大統領選挙戦で強調するのであろう。
しかし、クレムリンの安保会議構成員である、パトルシェフ安保会議書記、ボルトニコフFSB長官、ナルシキンSVR長官などは、戦争に負け始めて、国内が混乱したら、プーチンに退任を進める可能性がある。この時、ロ軍のゲラシモフ参謀総長も一緒に退任を求めることになる。
また、FSB内の若手などのシロビキは、プリゴジンにクーデターの口火を取ってもらい、その後、FSBを中心に事態を変革することも考えているようだ。
このような中、プーチンは、ワグナー軍がバフムトを完全占領したことに祝辞を述べている。現実を見ると、ウ軍との戦闘に勝てているのは、ワグナー軍しかない。このため、ワグナー軍のトップのプリゴジンを切れないでいる。
もう1つが、ロシアとベラルーシ両国は、ロの戦術核兵器のベラルーシ配備する協定に署名した。
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