日本の頭越しにちゃっかり中国と和解に向かうアメリカ
通説では、JFKはベトナム戦争への介入を加速したとされていますが、RFKジュニアの証言によると、真逆だったそうです。米国はベトナムに既に軍事顧問団を派遣していましたが、JFKはベトナムからの米軍完全撤退を命ずる大統領令に署名し、その直後に暗殺されたとのことです。その結果、有名なトンキン湾事件をきっかけに、米軍の正式軍事介入が決まり、ベトナム戦争は泥沼化していくことになりました。なお、北ベトナム海軍が米海軍を攻撃したとされたトンキン湾事件も、後に米国が仕組んだものだったことがわかっています。
JFK暗殺の真相や背景がこの通りだとすると、米国の言いなりになるのは極めて危険であることがよくわかります。実際、日本の防衛費増強の流れは、もともと米CSIS(戦略国際問題研究所)などが言い出した「台湾有事」なるものによって盛んに煽られてきました。第二次安倍政権時代から、盛んに「台湾有事は日本有事」という表現が使われるようになり、岸田政権になってからは「明日の東アジアは今日のウクライナ」という表現も加わって、日本政府は防衛費増強に向け、国民の危機感を募らせてきたと言えます。
しかし、少し冷静に考えれば、台湾有事が実際に起きる可能性など最初からそれほど高くないことはすぐにわかります。米中の経済的な相互依存関係からしても、米中が本気で武力衝突することなど考えにくく、台湾の独立派もごく少数派に過ぎません。中国は、「台湾が独立しようとしない限り武力行使は行わない」と最初から明言しています。先日のブリンケン国務長官の北京訪問では、米国も「台湾の独立は支持しない」と敢えて声明を出しました。これまでの表向きの米中対立路線を、あっさりと融和路線に切り替えたわけです。日本には盛んに危機を煽って防衛費増強を約束させておきながら、日本の頭越しにちゃっかり中国とは仲直りしているわけです。
バイデンの「習近平は独裁者」という先の発言は、認知症によるものかは別にして、単なる不規則発言か、または米国内の対中強硬派に対する配慮でしょう。その上で、仮に軍事衝突が起きても、前線に投入されるのは日本の自衛隊で、米軍は無傷でいられるということになれば、アメリカの戦争屋たちにとってはベストシナリオということになります。
すべて国民に回ってくる岸田を野放しにしたツケ
これまで米国からさんざん台湾有事を煽られて防衛費増強に舵を切り、米国製兵器の浪費的爆買いを約束したり、急速にNATOに歩み寄ってウクライナ支援に過度な積極姿勢を約束したりしている日本政府は、まさに米国にいいように操られているだけ、なのではないでしょうか。
「防衛財源確保法」などもあっさりと国会を通過してしまいましたが、日本が米国に乗せられて軍拡路線を歩むということは、憲法違反であるだけでなく、既に五公五民などと言われる中、さらなる増税や社会保険料アップなど、これから国民生活はますます苦しくなるということでもあります。
対米追従一辺倒で、何の主体性もない防衛や外交を野放しにしていると、そのつけはすべて国民に回ってくるのです。
※本記事は有料メルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』2023年6月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にご登録の上、6月分のバックナンバーをお求め下さい。
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