今更遅い「外国人に選ばれるOSAKA」
万博の開催地である大阪府は、建設業の人手不足の本質的な問題に気付いてはいる。例えば、大阪府および大阪出入国在留管理局(大阪入管)は「外国人材受入促進・共生推進協議会」を設置している。
この協議会では、「外国人に選ばれるOSAKA」を標榜する。従来の外国人労働者を「管理」することを「受け入れと共生」に発展させて、多文化共生社会を築くことを目指すという。具体的には、国の「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を積極的に活用しながら、大阪に外国人労働者が流れてくる枠組を構想するという。
このような取り組みが重要であることはいうまでもない。だが、あくまで中長期的な観点での外国人労働者受け入れの基盤づくりである。万博の建設工事に間に合う話ではない。
2021年に開催された東京五輪、2025年の大阪万博の開催は、かつて日本の高度経済成長の象徴となった2つのイベントを再び開催することで、日本が輝きを放った時代の「夢よ、もう一度」という国威高揚につなげることを目的としたものであることはいうまでもない。
だが、2つのイベントが浮き彫りにしたことは、経済の凋落、劣悪な労働条件、人権侵害問題などで外国人に選ばれず、施設の建設すら進まない、経済・社会が停滞した日本の現実だ。
万博の開催は、巨額の財政を無理やり突っ込むなどすれば、なんとか格好はつくのかもしれない。しかし、そこから我々は何を得られるというのか。大事なことは、日本の経済・社会が抱えた深刻な諸問題から目を背けることなく、本質的な解決に長期的な視点を持って、地道に取り組んでいくことではないだろうか。
image by: Twitter(@Expo2025 大阪・関西万博)