Google日本元社長が疑問視。国民生活より「インバウンドが優先」の亡国政策

Kyoto,,Japan,-,Circa,July,2019,:,View,Of,Foreign
 

今年上半期の訪日外国人客が1,071万人を数え、インバウンド需要に沸く日本。しかし地域によっては観光公害も発生するなど、手放しでは喜べない状況となっています。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作でも知られる辻野晃一郎さんが、外国人観光客の呼び込みばかりに熱心な政府を批判。国民に犠牲を強いてまで進められる観光立国政策に疑問を呈しています。

「過ぎたるは及ばざるがごとし」というお話

海外メディアの記事で、『France Starts Campaign To Combat Over Tourism At Sites Like Mont Saint Michel(フランスはモンサンミッシェルなどの観光地で観光公害を撲滅する運動を開始)』というタイトルを見て、「過ぎたるは及ばざるがごとし」という古い諺を思い出しました。

フランス北西部ノルマンディー地方の、潮の満ち引きで有名なモンサンミッシェルを巡る観光公害(オーバーツーリズム)についての記事です。モンサンミッシェルには、年間約300万人もの観光客が訪れるそうですが、出入りする道路が1本しかなく、観光シーズンには、シャトルバスに乗ろうとする人たちで大混雑するそうです。

フランス政府のオリビア・グレゴワール観光相は、モンサンミッシェルに限らず、フランス国内の人気観光地での観光公害を巡り、国を挙げての対策をとるべき時だと語っているとありました。

オランダでも、自撮りのためにチューリップ畑を踏み荒らすような観光客に辟易して、2030年までに観光客が2,900万人に達するという予測が出たことをきっかけに、2019年から政府が観光公害対策に乗り出しているそうです。

この手の話、どこかの国にも当てはまらないでしょうか?そうです、ひと頃から、やたらと観光立国をアピールし始めた我が国です。

2006年12月、第一次安倍政権下で、「観光立国推進基本法」が成立して翌2007年1月に施行され、「観光立国」が国家戦略として打ち出されました。その後、訪日外国人観光客、いわゆるインバウンドの数は、年間600万人台から800万人台で推移していましたが、第二次安倍政権下でインバウンドの積極的な呼び込みが始まった2013年には1,000万人を突破し、アジアを中心としたインバウンドが激増して、コロナ前の2019年には3,188万人に達しました。

その結果、東京、京都、大阪などの人気観光地はインバウンドで溢れ返るようになり、京都では、公営バスなどの混雑が常態化して、住民の生活に大きな支障を来たす状況にもなっています。また、人気アニメやネットフリックスの影響、SNSの発達などで、これまで、日本人もあまり訪れなかったようなマイナーで観光地化されていない地域にも、突然インバウンドが大挙して押し寄せるような現象もあちこちで発生しています。

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私は、日本全国いろいろな地域にお邪魔する機会が多いのですが、コロナ前には、「え!こんなところにも?」という感じで、本当にどこに行っても外国人が増えたと感じました。ホテルで虫刺されの被害に遭うことも増えました。色々調べてみると、インバウンドの増加に伴い、日本のホテルで虫刺されの被害件数が増えているのは事実で、トコジラミ(南京虫)などが海外から持ち込まれているようなのです。以前には、日本のホテルで虫に刺されることなど、まずありませんでした。今では、初めてのホテルに宿泊予約するときには、あらかじめ虫の被害がないかどうか確認するようにしています。もちろん、これは排他意識とか差別意識で言っているのではありません。私が実際に経験した事実として紹介しているだけです。

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