自分が死んだら、残された家族はいくら遺族年金を貰えるの?

Mother's and a child hands
 

3.遺族基礎年金と遺族厚生年金

◯ 昭和40年3月生まれのK男さん(今は58歳)

・昭和60年3月~平成元年3月までの49ヶ月はカラ期間
・平成元年4月~平成29年3月までの336ヶ月は国民年金未納
・平成29年4月~令和5年7月までの76ヶ月間は厚生年金加入(平均標準報酬額は50万円とします)

令和5年7月31日に病気で死亡。

厚生年金は死亡日の翌日に資格を喪失し、厚生年金期間は喪失月の前月までなので令和5年7月まで。

死亡日に生計維持していた遺族は妻39歳、子2歳、K男さんの母79歳。

遺族は妻と子が2人とも同じ第1順位者なので(ココは注意)、第2順位者である母は受給権は無し。

次に、K男さんの過去の年金記録を見ると、昭和60年3月から死亡日の前々月である令和5年5月までの459ヶ月で見ます。なお、459ヶ月のうちのカラ期間49ヶ月は年金の被保険者期間ではないので、それは省いて410ヶ月のうちの未納期間を見ます。

すると、未納期間は336ヶ月なので、410ヶ月に対して未納率81.95%>33.33%なので、満たしていません。

じゃあ遺族年金は無理なのかというと、特例として死亡日の前々月までの直近1年間(令和4年6月~令和5年5月)に未納がなければそれでもいいです。

直近1年間は厚年加入中で未納がないので、年金記録の納付要件を満たします。

よって、厚生年金加入中の死亡なので遺族厚生年金を受給する事ができます。
なお、厚年加入中は国民年金に同時加入中なので、18歳年度末未満の子がいれば同時に遺族基礎年金がもらえます。

・令和5年7月31日受給権発生の遺族厚生年金→50万円×5.481÷1,000×300ヶ月(最低保障月数)÷4×3=616,613円
・遺族基礎年金→795,000円+子の加算金228,700円=1,023,700円
・遺族年金生活者支援給付金→61,680円

よって、令和5年8月分からは妻には、遺族厚生年金616,613円+遺族基礎年金1,023,700円+給付金61,680円=1,701,993円(月額141,832円)。

その後は、子が18歳年度末を迎えると年金総額は遺族厚生年金616,613円+中高齢寡婦加算596,300円=1,212,913円(月額101,076円)となります。

中高齢寡婦加算596,300円は妻が65歳になるまで受給する事ができ、65歳以降は妻自身の老齢基礎年金を受給する事になります。

遺族厚生年金はよくある再婚などがなければ、終身で受給する事ができますが、妻自身が老齢厚生年金を貰える時は差額支給となります。

例えば妻が65歳から老齢基礎年金60万+老齢厚生年金20万円貰える場合は、遺族厚生年金616,613円から20万円を引いて416,613円を遺族厚生年金として支給します。

ところで、中高齢寡婦加算は夫死亡時に妻が40歳以上でなければならないと前述しましたが、遺族基礎年金を受給してる時に40歳以上になれば遺族基礎年金が終わった時に中高齢寡婦加算の受給が始まります。

というわけで、今回は遺族基礎年金と遺族厚生年金の一般的な計算を示してみました。

image by: Shutterstock.com

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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