ホンマでっか池田教授が難敵「中央線の遅延」を制して養老孟司氏と虫採りしてきた話

 

対馬観光物産協会の西さんと、対馬博物館の谷尾さんが迎えて下さった。あとは車で大名採集である。最初に行ったのは、龍良山(たてらさん)原始林だ。スダジイ、イスノキなどの照葉樹林の原生林である。昆虫採集は禁止ということだが、こういった暗い原生林の林床には虫はほとんどいない。キャノピー(林冠)に行って探せばいろいろな昆虫がいると思うが、行きようがない。朽ち木などを探せば、面白い甲虫がいそうだが、採集禁止では探しても仕方がないので、眺めるだけで、次の目的地に行く。

渓流がきれいだが、ほとんど瀬で淵があまりない。川底が一枚の花崗岩ということと関係があるのだろうか。対馬にはアユはいるがアマゴやイワナはいないのだという。確かにアマゴの棲息しそうな雰囲気ではない。谷尾さんがツシマヒラタクワガタをよく見かけるという場所を案内してくださるというので、次には浅藻というところに行く。クヌギの林で、傍に住居跡らしき石垣があるので、かつては薪炭林だったのだろう。ツシマヒラタクワガタはヒラタクワガタの対馬亜種で大顎が長く伸び、大顎を含めた体長は日本産のヒラタクワガタでは最も長くなり、愛好家に人気がある。

私はここで、数ペアのツシマヒラタクワガタを採ったが、自然史データバンクアニマnetの代表理事の渡辺秀昭君が採ってきてほしいと、養老さんに頼んだという話を聞いて、1ペアは養老さんに渡した。たぶん今頃は渡辺君の掌中に落ちていることだろう。私はツシマヒラタクワガタより、チョウセンヒラタクワガタを採りたかったのだが、これは残念ながら採れなかった。よく似た種だが、チョウセンヒラタは大顎が多少湾曲しているので、慣れれば割合に簡単に見分けられる。但しメスを見分けるのは難しい。ツシマヒラタクワガタより珍しいが大きくならないので人気がない。

今夜はナイターをする予定で、その前に宿に寄る。対馬西山寺という宿坊である。宿坊と言っても、ベッドがある広い洋室で、西洋式のバスタブとトイレ完備の立派なホテルだ。晩飯は穴子丼を食べる。穴子は対馬の名物のようで、旨いという評判であるが、不味くはないが、私的には瀬戸内海の穴子の方が口に合う。まあ、好みの問題だろうけれど。

養老さんも私も──(メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』2023年8月25日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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