戦争には与しないという姿勢を明確にすることが出来た日本
イスラエルとハマスの戦いの激化は、実際にはアラブ社会・中東地域の力の大再編の始まりであり、より広範な地域を巻き込んだ混乱と国際秩序の再編のトリガーになる可能性が非常に高いように思われます。
このような混乱の国際情勢の中で、日本政府が果たすべき役割とは何でしょうか。
まず断言できるのは、報道では評価が二分されていますが、イスラエルとハマスの戦いの激化に際してG7の議長国でありながら、他の6か国と同調せず、日本独自の国益に照らし合わせて独自の外交を選んだことは高く評価できるということです。
日本はイスラエルともパレスチナとも良い関係を築き、今回10億円強の人道支援を、UNRWAを通じてガザの一般市民に対して供与することで、戦争には与しないという立ち位置をはっきりさせることが出来たと感じます。
それはアルメニア・アゼルバイジャン問題でも同じですし、再燃の危機に瀕しているコソボ問題でも同じで、は対岸の火事とのんきに過ごしているのではなく、きちんと考えて行動していると感じています。
唯一、ちょっと対応を誤った感があるのがロシア・ウクライナ問題において、即時にウクライナ寄りの態度を明確にしたことですが、今後、国際的に絡み合う複数の紛争に対応する中で、その過ちも修正できる・挽回できるチャンスが大いにあると見ています。
大事なことは、それぞれのケースに関心を持ち、考えることです。直接戦闘に巻き込まれる必要は全くないですが、日本の立ち位置からいかにして国際協調と安定を取り戻す手助けができるのかを考え、迅速に行動に移すことが大事だと考えますし、私は日本はそれを十分にできると感じています。
抑圧から人々を解放し、武力によってではなく話し合いによって納得のいく合意を導き出す。それが出来れば、きっと、サンゴール大統領が述べたように、世界の人々が友情で結ばれる世界に近づけることが出来ると思います。
この後、また調停の現場に戻ります。来週、少しでも前向きな内容をお伝えできることを願って。
以上、今週の国際情勢の裏側でした。
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