大阪万博と同じオワコン具合。米軍も渋り始めた「辺野古移設」にかかるカネと“早くて14年”という長い時間

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地元住民の強い反対を押し切り、米軍の基地建設が進む名護市辺野古地区。2019年には建設予算が3倍近く引き上げられましたが、その他にも問題は山積しているようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、東京新聞の報道で明らかになった、辺野古の軟弱地盤を巡る「前代未聞のデタラメ」を紹介し自民党政権を厳しく批判。さらに自身が考える、普天間基地移設問題の現実的な解決法を提示しています。

辺野古の軟弱地盤改良工事めぐり露呈した前代未聞のデタラメ

沖縄県名護市辺野古の米軍基地建設は、沖縄県の玉城デニー知事が新たな区域の埋め立て工事に必要な防衛省の設計変更申請を承認しなかったため、国が県に代わって承認するための「代執行訴訟」へと発展してしまいました。しかし、そもそもの話、この区域の海底は通称「マヨネーズ地盤」と呼ばれる軟弱地盤であり、この区域を埋め立てて滑走路を建設することは、現在の技術では不可能なのです。

机上の空論レベルの計画では、軟弱地盤の区域全体に、90メートル以上の長さの杭を7万7,000本ほど打ち込んでから埋め立てをすれば「建設可能」とのことです。しかし、日本はもとより世界でもこれほどの深度での地盤改良工事の前例はなく、国内には工事に対応できる地盤改良船もないため、まずは専用の地盤改良船を開発するところから始めなくてはならないのです。

ちなみに、大阪湾の泉州沖5キロに浮かぶ関西空港は、辺野古の海底より何倍もマシな粘土層の地盤を改良して建設されましたが、建設開始の1986年から2022年までの38年間に、13.5メートルも地盤沈下しています。その結果、現在の関西空港は、海抜が最も高い場所でも10メートル以下、最も低い場所では海面まで1メートルほどになってしまったのです。

こうした前例から推測しても、関西空港より遥かに難易度の高い埋め立て工事は、事実上、不可能なのです。地盤改良船を何隻も開発するだけでも莫大な予算と数年の時間が必要ですし、仮に地盤改良船が完成しても、7万7,000本の杭打ちには5~10年が掛かると見られています。杭打ちが完了したとしても、今度は少なくとも東京ドーム5杯分の埋め立て用の砂を調達しなくてはならず、調達できても埋め立て工事に数年は掛かります。そして、これらがすべて終わってから、ようやく滑走路の建設なのです。

そんな「マヨネーズ地盤」ですが、防衛省は2015年からその存在を把握していました。しかし、工事に不適格な軟弱地盤だということが公になると、これを理由に反対の声が高まるため、防衛省は2019年まで隠蔽していたのです。そして、軟弱地盤が公になった2019年、当時の河野太郎防衛相は、当初の総予算3,500億円を「軟弱地盤対策費」として3倍近い9,300億円に引き上げ、工期もそれまでの5年から9年3カ月へと引き延ばしたのです。

しかし、それから4年が経過した今、建設予定地の埋め立て率は約14%だけで、それも埋め立てしやすい浅瀬だけしか手をつけていません。当然、軟弱地盤の地区は1ミリも埋め立てされていませんが、河野太郎防衛相によって「軟弱地盤対策費」として引き上げられた9,300億円の予算のうち、すでに半分の4,312億円が使われてしまったのです。この進捗率から見れば、日本維新の会による日本維新の会のための大阪万博と同様に、何度も何度も予算が増額されて行き、最終的には3兆~5兆円に達してしまうでしょう。

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