信者たちの“心の源泉”だったカリスマ「池田大作」の死で創価学会と公明党の弱体化は加速する

 

資金集めを活発化させた「病人と貧乏人の宗教」

宗門に破門されて以降、学会は池田氏の“偉人化計画”を進め、資金集めを活発化させた。学会の教えに正統性を持たし、いわば“池田教”を樹立する目的があったからだろう。

福本元参院議員によると、池田氏が実権を握る前の創価学会は、「病人と貧乏人の宗教」と呼ばれ、さほど寄付を要求する組織ではなかった。それが、1980年代には「100万円財務(寄付)」となり、宗門を破門されたのを契機に「1,000万円財務」へとエスカレートしていった。

福本氏の著書『創価学会公明党「カネと品位」』に以下のくだりがある。

集める口実はこうです。「財務をしたら、倍になって福をもたらす」「会食の席では、池田先生と同じメーンテーブルに座れる」「池田先生と会うと人生が変わるのよ。それがエポックになるかどうかはあなたの信心よ」など甘言を弄するわけです。挙げ句は、座談会などで財務経験者が、「私は30万円の財務をしたら、ビジネスで300万円も儲かりました」とやるわけです。

1964年に池田氏が誕生させた公明党は、創価学会の支配のもとで勢力を拡大し、いまや自公連立政権の一翼を担って、この国を統治している。池田氏が唱えてきた「総体革命」を実現するための中核部隊といえるだろう。

「総体革命」とは、政官界、司法界、大企業、マスメディアなどに学会員を送り込み、池田名誉会長が最高権力者として日本を支配するという構想である。元公明党委員長、矢野絢也はかつてこう述べた。

「公明党議員は、創価学会のほぼ丸抱えで選挙戦に挑む。その分だけ、身も心も学会、池田先生にささげるという感覚になる」

公明党の首脳人事も候補者の公認も、学会の意向で決まる。しかし、学会の力の源泉は池田名誉会長の存在だった。

公明党は2022年7月の参院選で「比例代表800万票獲得」をめざしたが、約618万票にとどまった。少子高齢化の進行で学会員の数が減り続け、集票力に陰りがみえるにつれ、選挙区と比例代表で票を融通している自民との関係にも、「経年劣化」が目立つようになっている。

カリスマを失って、創価学会と公明党の組織的弱体化が加速するのは避けられないかもしれない。対立・分裂の泥沼に入っていく可能性も否定できない。自公連立体制は早晩、大きな岐路に立たされるだろう。

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