韓国の時計だけが止まっている。AI革新にまったく乗り切れていない隣国の深刻な事情

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ChatGPTの開発・リリース以降、AI革新が止まらない世界各国ですが、日本のお隣「韓国」はその波に乗り切れていないようです。無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者は「韓国の時計だけは止まっているようだ」として、その理由を語っています。

韓国の時計だけが止まっているのか

チャットGPT開発会社である「オープンAI」のサム・オルトマンCEOがAI用半導体を自主開発するとし、最大7兆ドル(約9300兆ウォン=1,045兆円)の資金調達に乗り出したという。韓国のGDP(国内総生産)の4倍に達する規模だ。

AI革新を主導するオープンAIが天文学的な投資を通じて直接半導体開発まですることになれば、半導体産業の版図は一気に覆されるだろう。

オルトマンはAIを訓練・運用できる高性能半導体の生産施設を数年内に10か所余り建設した後、ファウンドリー(委託生産)1位業者である台湾TSMCに運営を任せる方案を構想中だという。実際、この構想が現実化すれば、韓国半導体がTSMCに追いつけないほど格差が広がる可能性がある。

AI時代に半導体覇権戦争は、恐るべき規模と速度で繰り広げられている。半導体設計最強国の米国は、半導体支援法を制定し、自国内の多くの地域に半導体製造クラスターを造成している。

最近は50億ドル(約6兆6000億ウォン=7420億円)を投資し、国立半導体技術振興センターも発足させた。台湾はTSMCの新工場建設を国家存亡がかかったプロジェクトと見て、総統から各省庁の長官と自治体首長が一丸となって支援を惜しまない。

日本も2兆円(約18兆ウォン)規模の補助金を提供し、TSMCを誘致して熊本県を半導体クラスターに造成中だ。2021年に着工したTSMCの熊本第1工場は3年も経たないうちに建設され、来週竣工予定だ。第2工場の建設計画も発表した。驚くべき速度戦だ。

企業の勢力図も変わりつつある。AI半導体の80%以上を掌握したNVIDIAは、企業価値が急増し、時価総額2兆ドルを目前にしている。三星電子の時価総額(442兆ウォン)の5倍を超える。半導体業況不振の中でもファウンドリー市場占有率を58%に増やした台湾TSMCは昨年売上がサムソン電子・インテルを抜いて初めて世界1位に上がった。半導体の営業利益は81億ドル(約10兆9000億ウォン)で、三星の4倍を上回る。

半導体は韓国経済の主力産業だが、これまであらゆる政治・司法リスクと反企業感情に振り回されてきた。米国・日本・台湾は3~4年ぶりに半導体工場を建てるのにわれわれ韓国はあらゆる規制に縛られその2倍以上の時間がかかる。

SKハイニックスの龍仁(ヨンイン)半導体クラスターは2019年に敷地を選定したが、8年後の2027年になってようやく稼動する予定だ。グローバル業界が息詰まる速度で再編されるが、サムソン電子のイ・ジェヨン会長は3年5か月間、司法リスクに縛られ未来対応も遅れた。1審で容疑19件すべて無罪判決を受けたが、最初から無理な起訴を強行した検察が再び控訴した。AI革新が恐ろしい速度で世の中を変えているのに、韓国の時計だけが止まったようだ。

image by: Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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