台湾海峡で高まる緊張状態。なぜ日本メディアは“冷めて”いるのか?

 

19日には中国海警局の船が台湾の遊覧船を突然停止させ、乗組員の免許などの確認を行った。中国のこの一歩踏み込んだ行動に台湾社会には不穏な空気が広がった。台湾国防部は、「状況をエスカレートさせず、円滑に処理されることを望む」とのコメントを出したが、翌20日、大陸の人々の感情を逆なでする事実が浮上する。

生き残った2人の漁師が大陸に戻り、記者会見に臨んだ場で、「われわれの漁船は台湾当局の船に衝突されて沈んだ」、「死にかけた」と告発したのだ。台湾当局の説明と大きく食い違った告発だけに両岸のメディアは強く反応。真相究明を求める声が沸騰した。

中国の漁師といえば、日本ではかつて尖閣諸島沖で海上保安庁の船に漁船を衝突させた船長の記憶が鮮明で、粗暴なイメージが付きまとう。だが今回は少し違っていたようで、大陸の漁師の主張を台湾側が認め、「(台湾当局の船が)衝突したことが転覆の原因」だと明らかにしたのだ。

中国側の怒りは収まらない。台湾側がその事実を認めるまで2日間もかかり、さらに取り締まりのビデオを「公開しろ」という要求に対し、「(そうした)ビデオは存在しない」と素っ気なく回答したからだーー(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2024年3月3日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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