19日には中国海警局の船が台湾の遊覧船を突然停止させ、乗組員の免許などの確認を行った。中国のこの一歩踏み込んだ行動に台湾社会には不穏な空気が広がった。台湾国防部は、「状況をエスカレートさせず、円滑に処理されることを望む」とのコメントを出したが、翌20日、大陸の人々の感情を逆なでする事実が浮上する。
生き残った2人の漁師が大陸に戻り、記者会見に臨んだ場で、「われわれの漁船は台湾当局の船に衝突されて沈んだ」、「死にかけた」と告発したのだ。台湾当局の説明と大きく食い違った告発だけに両岸のメディアは強く反応。真相究明を求める声が沸騰した。
中国の漁師といえば、日本ではかつて尖閣諸島沖で海上保安庁の船に漁船を衝突させた船長の記憶が鮮明で、粗暴なイメージが付きまとう。だが今回は少し違っていたようで、大陸の漁師の主張を台湾側が認め、「(台湾当局の船が)衝突したことが転覆の原因」だと明らかにしたのだ。
中国側の怒りは収まらない。台湾側がその事実を認めるまで2日間もかかり、さらに取り締まりのビデオを「公開しろ」という要求に対し、「(そうした)ビデオは存在しない」と素っ気なく回答したからだーー(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2024年3月3日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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