【法律相談】代金を先払いしたのに、商品が納品されない時の対処法

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読者からの法律のお困りごとにも答えてくれる、人気の無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』。今回寄せられたのは、売買契約のもつれに関するご相談です。被害が少額の場合、裁判に持ち込むとかえって損するパターンも多いようで……。

代金を支払ったのに、商品が納品されない!

□相談□

製品パンフレットをデザイナーに依頼し、見積書、請求書通りの金額をお支払いしています。パンフレット1000部で12万円です。1000部納品してもらった上で12万円お支払いするのが通常だと思っていましたが、デザイナーさんが言うにはこの業界は先払いで印刷会社に代金を先払いしなければいけないとのこと。言われるがままに12万円の代金を支払い、納品を待つこととなりました。

するとデザイナーさん曰く、1000部を一度に納品した場合、誤字脱字、デザインの途中変更等が発生したら大変なので小分けに印刷し、欲しい時に都度印刷してあげると言っていただきました。そのご厚意に甘え、現在まで250部納品してもらい残り750部未納となっています。パンフレットの在庫がなくなったので追加を注文したところ、もう12万円分は仕事をしたのでこれ以上はできないと言われました。

こちらで別の業者に印刷をお願いしようにも、パンフレットの著作権は自分にあるので、勝手に使ったら著作権違反で訴えるとまで言われています。どのように対応したらいいのでしょうか?(40代:男性)

□回答□

相談内容を拝見すると、ご相談者様とデザイナーさんとの間には、デザインなどの制作を含むパンフレット1000部の売買契約が成立しているものと考えられます。そのうち250部しか納品されていないのであれば、750部については債務不履行と考えて問題ないと思います。

債務不履行とは、「契約に基づく義務があるのにそれを果たしていない」ことを示します。今回のケースでは、デザイナーさんが、代金を支払っているのにパンフレットを納品しない点が債務不履行です。

こうした場合、相手に対して履行請求(義務を果たすように求めること)や、債務不履行に基づく損害賠償請求(民法415条)などが可能です。今回のケースでは、履行請求として「750部を納品せよ」と迫るか、損害賠償請求として「750部分の代金を返還せよ」と迫ることになります。

依頼されたデザイナーさんは、「先払いが業界の習わし」のように言っていますが、印刷物の受発注において、後払いのケースも多々あります。こうした点から、上記のような請求をしたとしても誠実に対応してもらえないのではないかという予想が立ちます。

そのため、まずは「見積書通り、1000部で売買が成立しているのだから750部を速やかに納品してほしい」と交渉し、応じない場合は、内容証明の送付などを活用して納品を促し、それでも応じない場合は、民事調停や少額訴訟などを視野に入れつつ(損害賠償といっても10万円程度の金額の場合、費用倒れになる可能性も高いため、すぐにこうした手段を用いるのは考えものです)、弁護士などの法律の専門家にご相談されることをおすすめいたします。

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