コロナ禍で大ヒット。「手マスク」を開発した老舗軍手メーカーの思い

shutterstock_528682501
 

長引くコロナ禍にあって、とある抗菌・抗ウイルス手袋が注目を集めています。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、その名も「TEMASK -てますく」なる商品を世に送り出した、老舗軍手メーカーの戦略と戦術を分析。多くの消費者の共感を得たのは、「技術力を世の中に役立てたい」という、同社の強い思いでした。

技術力×思い

今号は、抗菌・抗ウイルス手袋を分析します。

● 軍手の製造・販売を手掛ける株式会社イナバが展開している「TEMASK -てますく-

安心、安全、快適に暮らしたい方をターゲットに「自社製造・自社販売へのこだわり」に支えられた「フィット感が抜群」「ウイルスを抑制する」等の強みで差別化しています。

コロナ禍でウイルス対策が求められる中で、独自の技術とこだわりが注目を集め、クラウドファンディングサイトで、目標額の6,024%となる応援購入総額を達成。

■分析のポイント

まず、日本に軍手を作っているメーカーが存在するということに驚かされました。あまり技術力を必要としないイメージでしたので、海外で生産されているのであろうと思っていました。実際は、株式会社イナバのように技術力を持つ企業が生き残っているのです。思い込みには気をつけたいですね。

厳しい環境下においても、技術力を持っているということは生き残るうえで、重要な要素と言えるでしょう。ですが、技術力だけで生き残ることは困難です。

今回のポイントとなりますが、イナバの社長は、「TEMASK -てますく-」開発の経緯として、今の世の中で「手袋を作り続けてきたからこそできることを」と考えていたようです。

企業として活動をしていれば、必ず逆境と言えるような世の中の変化は訪れます。その変化を機会として捉えるか、それとも、どうにもならないと捉えるかで、その後のアクションは大きく変わってきます。

だからこそ、どんな時代であっても、「自分たちにできることはないか」と考え続けることができることは非常に大切なことです。どんなに優れた技術力を持っていても、その技術を世の中にどう活かせるかということを考えていかないと、宝の持ち腐れになりかねませんからね。

そして、技術力を世の中に役立てたいという思いを持っていることが共感を得ることにもつながります。「TEMASK -てますく-」もクラウドファンディングで、目標を大きく上回る応援購入につながりましたね。

今回の事例は、「技術力×思い」の重要性を示した好事例と言えるでしょう。今後、「TEMASK -てますく-」が、どのような存在になっていくのか注目です。

print
いま読まれてます

  • コロナ禍で大ヒット。「手マスク」を開発した老舗軍手メーカーの思い
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け