「国家承認」の見返りか?支配地域再建に北朝鮮の労働力を受け入れるロシア

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7月13日にウクライナの親ロ派が掌握する「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認した北朝鮮。これに激怒したゼレンスキー大統領は北朝鮮との国交断絶を発表しましたが、金正恩総書記は早くも独立承認の「報酬」を得ることに成功したようです。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では宮塚コリア研究所副代表の宮塚寿美子さんが、親ロ派支配地域の再建に向け北朝鮮労働力の受け入れを示唆した、駐北ロシア大使の発言を紹介するとともに、仮に実現してしまった場合には明確な安保理決議違反になるとの指摘を記しています。

※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2022年7月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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北朝鮮便り 再び注目される北朝鮮の海外派遣労働者の問題

下半期に入った北朝鮮情勢を見てみよう。

2022年7月17日付の北朝鮮の党機関紙である労働新聞は、金正恩(キム・ジョンウン)総書記を指す「党中央」の決定と指示を無条件で徹底的に貫徹することを党員らに求めた。

金正恩朝鮮労働党総書記が、2012年に「共和国元帥」の称号を授与されてから同日で10年になると指摘し、「(この10年は)尊厳と国力が最上の境地に達し、人民の夢と理想が花開いた輝ける年代だ」と統治を称賛した。

かつて父親の故金正日(キム・ジョンイル)総書記は、「金正恩同志がいて私たちの革命、私たちの社会主義はびくともせず、私たち祖国の未来は果てしなく明るく蒼蒼としています」と教示していた。

北朝鮮の称号は、故金日成(キム・イルソン)主席と没後の故金正日総書記が受けた「大元帥」が最上とされ、共和国元帥はそれに次ぐとされる。

翌7月18日付の労働新聞は、「日本が大東亜共栄圏を作るという妄想を捨てておらず『再侵略の刃を露骨に研いでいる』」と批判する記事を掲載した。北朝鮮メディアは、国営朝鮮中央通信などが頻繁に日本批判を展開しているが、最も権威が高いとされる労働新聞が、日本の政策を取り上げた記事を掲載するのは昨年10月以来とみられる。

記事では、1927年に当時の田中義一首相が昭和天皇に極秘具申した内容として海外で流布され、日本では偽書との見方が定着している「田中上奏文」を取り上げ、その内容が後に「大東亜共栄圏構想に拡大した」と主張した。

また、「『征韓論』と『田中上奏文』、それに基づいた『大東亜共栄権』は、領土膨張に狂奔した日帝の愚かな妄想がどのような状況に至ったのかを如実に暴露している。そのはかない野望のため、日本は敗亡の恥と敵国の汚名を背負い、今後もそれを永遠に晴らすことができなくなった」と、日本批判を繰り返している。

この時期に労働新聞が日本批判をすることの意図は何か。北朝鮮は、米国の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域での影響力増大を危惧し、それに追従する日本をけん制しているのではないだろうかと分析する。

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