「通じてない」わけじゃない。日本人の英語が海外で使えない真の理由

 

それはたったひとつ…

大きな声で、ゆっくり、話してください」

ということです。 

日本から観光客が来た際、自分の英語が通じなくてパニックになったという話をよく聞きますが、実は「通じてない」ではなく「聞こえてない」可能性が非常に高いんです。 

ガイドブックに掲載されている簡単な英会話のフレーズ。 あるいはネットで下調べしてメモしていたフレーズ。 

これをタクシーの運転手やスタバの店員に使った際、緊張も手伝い、早口になり、かつ日本という国の社会生活レベルの音声ボリュームであれば、間違いなくニューヨーカーは聞き取ってもらえません。 

「通じてない」じゃないんです。 通じるんです。 そのフレーズ。 

ただ「聞こえてない」だけなんです。 

「ハッキリと大きな声で」話せば、まったく同じフレーズで通じます。 

日本の英会話教室や、英語教材で、異常に重要視している「発音」も必要ありません。 

この街で暮らして、アメリカ人と仕事をするのであれば、もちろん重要です。 

でも、1週間くらいの観光で、まったくゼロから発音の練習をして、そこから飛行機に乗る必要はありません。 

中西部の田舎や南部の郊外ならまだしも、すくなくとも「世界最大の観光都市」である、ここニューヨークでは、世界中のアクセントをもった英語が氾濫しています。 本物じゃない英語だらけの街です。 なにより言葉は時代とともに変化し、地域によりアレンジされていくものだから「本物の英語」って言葉自体がオカシイ。 

(それに1週間や1カ月、もっと言えば1年くらい教材で独学しても本物の発音なんて学べないよ)

何度も言うようですが、仕事や留学でない限り、ただの観光であれば、日本語アクセントのままの英語で十分、十二分です。 

それでも勤勉で真面目な日本人は、ちょっとアクセントを練習して、本場で通じるか試してみたくなる。 

なので、初めてこの街に来て、タクシーに乗り、飛行機の中でくちパクで練習した「通じる英会話シリーズ」に載っていたフレーズを使ってみる。 

自分でも気付かないくらいには緊張しているので、いつもより早口になる。 

しかも365日24時間、騒音とクラクションで覆われるこの街のニューヨーカーの音声ボリュームは世界の基準よりはるかに大きい。 日本で暮らしているままの音声ボリュームではとてもじゃないけど、聞き取れない。 ニューヨーカーって、つまりは日本の方が考えるより声がデカいんです。 

それに慣れてしまった僕は、たまに日本に里帰りして、同級生と合うと「声デカくなったな!」って言われます。 (在NY日本人あるある)

緊張していつもより早口で、日本基準の音声ボリューム。 

イエローキャブの運ちゃんは、当然「Whatッ!」って聞き返してきます。 

この怒鳴るような感じの「Whatッ!」

この4文字、実は日本語訳するなら「申し訳ございません、聞き取れないので、もう1回おっしゃって頂けますか」とほぼイコールです。 

もちろん、こんな丁寧な言語は世界広しと言えども「NIPPON」だけなので、ニューヨークでは「Whatッ!」の4文字。 

でも、怒ってるわけではないんです。 彼は至って普通。 でも、日本の東京無線の運転手さんに慣れてしまっている日本人は、まるで怒られたかと萎縮してしまいます。 

自分の英語が通じない!しかも、なぜか怒鳴られた…。 

そう思ってしまい、二度と英語で話そうとしない。 やっぱり自分の英語は通じないんだ。 そう勘違いします。 

ゆっくり、大きく(自分が思ってる“大きく”より、もう一段階“大きく”)ハッキリ、しゃべってみてください。 

きっと通じます。 

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