「10年に短縮」で受給資格を得た人の年金額はいくらか?
ところで、今まで25年必要だったのが10年になった場合の年金額を見てみましょう。
今は例えば原則25年以上の期間がある人は65歳からは老齢基礎年金が貰えます。
20歳から60歳までの40年間は国民年金に強制加入だから、仮に40年間(480ヶ月)完璧に国民年金保険料を納めている人であれば、国民年金から老齢基礎年金が年額780,100円(月額65,008円)支給されます。
じゃあ25年間(300ヶ月)納めた人はいくらになるのか。
満額の老齢基礎年金が780,100円なので、780,100円÷480ヶ月×300ヶ月=487,562円(月額40,630円)。
そして10年だけの人だとどうなるか。
780,100円÷480ヶ月×120ヶ月=195,025円(月額16,252円)となり、とても低額な年金になります。とてもじゃないですが、生活できる年金額じゃありません。満額の老齢基礎年金月額65,008円でも生活は厳しいはずです。
だから10年に短縮されたからって安心してはいけません。
仮にこの10年が国民年金保険料免除期間(全額免除の場合)なら更に少なくなります。全額免除期間であっても老齢基礎年金の半分は税金から支払われているので、780,100円÷480ヶ月×120ヶ月÷2=97,512円(月額8,126円)の年金となります。
また、今の老齢厚生年金は1ヶ月でも厚生年金を納めていれば65歳から老齢厚生年金が支給されます。
ただし、これも原則の25年間の年金受給資格期間がある事が前提で、なおかつ、厚生年金期間が1ヶ月以上ある人でないと老齢基礎年金と合わせて老齢厚生年金は貰えないですが、全体で10年以上あればこの1ヶ月分の老齢厚生年金も貰える事になります。
ちなみに昭和36年4月1日以前生まれの男性、昭和41年4月1日以前生まれの女性は、生年月日により65歳前から老齢厚生年金を貰う事が出来ますが、65歳前から老齢厚生年金を貰う場合は最低1年以上の厚生年金期間(厚生年金期間と共済組合期間合わせて1年以上でも良い)と全体で25年以上の年金受給資格期間が必要でしたが、全体で10年に短縮される事により65歳前からの老齢厚生年金を貰う事も可能になります。
なお、過去に未納にした期間(今なら過去最大5年まで遡って納められる)がある場合、とりあえず60歳から最高70歳までは国民年金に任意に加入して保険料を納める事が出来ます(厚生年金加入中は不可)。ただし、65歳から70歳までは原則の25年以上(来年の改正で10年以上)足りない人のみ国民年金保険料を納める事が出来ます。
また、過去に国民年金保険料を免除にしている部分は、25年以上や改正後の10年以上の期間には含まれますが、過去最大10年以内の免除期間の保険料を支払って年金額を増やす事が出来ます。