絶対に修繕されないボロマンションも需要がある日本の悲惨な現実

shutterstock_127581464
 

かつては安定収入のある人が、場合によっては終の棲家として購入するというのが常識だった分譲マンション。ところが昨今、修繕も管理も行き届いていない「管理不全マンション」が売れるという不思議な現象が起こっているそうです。一体なぜなのでしょうか。無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんが、その裏にある深刻な社会問題と併せて解説してくださっています。

管理不全マンションが評価される不思議

こんにちは! 廣田信子です。

分譲マンションは、ローンを組んで持家を購入し、そのローンを返し続けられる安定的な収入を確保できる人が暮らす場所…。40年前、まだ、終身雇用が機能し、分厚い中産階級を持つ日本では、それが、ごく当たり前の感覚だったと思います。

今はどうでしょう。

ある大都市の駅近のマンションの事例です。当初は、普通に居住のために購入されたのですが、立地がいいがゆえに、建替えの話が持ち込まれ、建替えを見越して不動産業者が買いに入る…。そして、結局、それが頓挫する…。

何年も建替え話に翻弄されていると修繕はされず修繕積立金もほとんどないまま、高経年になります。見るからに管理がされていないマンションという風情で、価格も100万円まで下がりましたが市場では流通しているのです。100万円という安さと、結局、修繕積立金の値上げもできていないので、月々の管理費等の額の低さが評価? されているのです。

えっ、修繕もろくにしていなくて、修繕積立金もないマンション買って大丈夫なの…と思いますよね。でも、賃貸としての借り手がつくので売れるのです。利回りがよく、3年で元が取れてしまうというのです。

ワーキングプアと言われる若者や国民年金暮らしの高齢者や外国人労働者の人が、便利な立地で3万円という低い家賃に飛びつくのです。どんなに古くても、多少壊れていても、場合によってはエレベーターが使用不可になっていても、3万円で便利なところに住める…という価値の前には、総てを飲むような人たちがかなりの数いる…という現実が垣間見ます。

その人たちは、マンションを改修して環境を整えるから、家賃を5万にすると言われたら…、たぶん、今のままでいいから、家賃を3万円に据え置いてくれ…というはずです。今のままの状況でも借り手が確保できる以上、利回りを下げてまで、お金を掛けてマンションを修繕しようとは思わないでしょう。

print
いま読まれてます

  • 絶対に修繕されないボロマンションも需要がある日本の悲惨な現実
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け