離婚したら「年金半分よこせ!」が通用するというのは本当か?

 

というわけで、まずは夫婦で按分割合を決める「年金の合意分割の事例。計算自体は非常に複雑な計算をする為、簡易にしています。イメージを掴んでいただければと思います。

1.昭和22年6月14日生まれの夫(現在70歳)

20歳になる昭和42(1967)年6月から昭和50(1975)年7月までの98ヶ月国民年金保険料納付済。昭和50(1975)年8月から平成18(2006)年2月までの367ヶ月厚生年金。平成18年3月から60歳前月の平成19年5年までの15ヶ月未納。

とりあえず老齢厚生年金120万円(月額10万円)。老齢基礎年金は77万9,300円÷480ヶ月×465ヶ月=75万4,947円とします。夫の年金総額195万4,947円。

妻とは昭和58年12月に婚姻し、平成29年7月に離婚する事になって妻からは年金の離婚時分割を求められた。分割割合は50%(つまり2分の1)を希望

婚姻した昭和58(1983)年12月から平成18年2月までの267ヶ月の厚生年金記録のみで計算すると老齢厚生年金は96万円(月額8万円)とします。この267ヶ月の厚生年金保険料納付記録を分割する。

婚姻前の昭和50年8月から昭和58年11月までの厚生年金記録のみで計算すると老齢厚生年金は24万円(月額2万円)とします。ここは婚姻前の記録だから年金分割対象外

2.昭和27年3月20日生まれの妻(現在65歳)

20歳になる昭和47年3月から昭和58年11月までの141ヶ月は国民年金保険料納付済。厚生年金被保険者であった夫と婚姻した昭和58年12月から昭和61年3月までの28ヶ月は国民年金保険料を納めるかどうかは任意だったので納めなかった。この28ヶ月は年金を貰う権利を獲得するための年金受給資格期間25年(平成29年8月からは10年)に含むためのカラ期間

諦めるなかれ。年金を25年納めなくても貰える「カラ期間」とは(まぐまぐニュース参考記事)

そんな妻も昭和61(1986)年4月の年金大改正から国民年金に強制加入となり、平成12(2000)年3月までの168ヶ月は夫の扶養に入って第3号被保険者となる。第3号被保険者期間は妻独自に年金保険料は支払わないが、納付済期間となる。

年金が優遇される「専業主婦」は本当に得なのか、比較検証してみた(まぐまぐニュース参考記事)

平成12年4月から平成16(2004)年3月までの48ヶ月間は厚生年金に入った。この間の老齢厚生年金は12万円(月額1万円)とします。

平成16年4月から夫の最終厚生年金加入の平成18年2月までの23ヶ月は再度第3号被保険者となり、平成18年3月から60歳前月になる平成24年2月までの72ヶ月間は国民年金未納。なお、この妻はすでに25年以上あるからカラ期間不要ですね^_^

妻の老齢基礎年金は77万9,300円÷480ヶ月×(141ヶ月+168ヶ月+48ヶ月+23ヶ月)=61万6,946円。

ちなみに、夫の厚生年金期間が20年以上あった為、妻の老齢基礎年金には振替加算(この妻の生年月日だと年額7万4,692円)という加算がされているものとします。

加給年金と振替加算(日本年金機構)

よって妻の年金総額は老齢基礎年金61万6,946円+振替加算7万4,692円+老齢厚生年金12万円=81万1,638円

離婚後に年金の離婚時分割をしなければ、妻はこの年金額がベース。

でも、夫婦の合意により夫から厚生年金記録を最大2分の1(50%)分けてもらう事にした。

※注意

元夫婦で分割の割合決めるので必ずしも50%の割合になるわけではありません(^^;; でも離婚分割の95%以上は50%を選択してますけどね。。

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