フランスで過労自殺が急増。G8で自殺率世界3位の仏が抱える闇

 

一方、「生活の質」はどちらの調査でも、6割が向上した」とし、とりわけ12歳以下の子を持つ親の半数以上が「子どもと過ごす時間が増えた」と回答。

しかしながら生活の質の向上を実感したのは階層が高い人たちがメインで、低い労働者からは否定的な意見が多く認められたという問題も浮き彫りになりました。

さて、そんな週35時間労働政策ですが、法の施行から10年以上が経過し、いくつかの深刻な問題が出始めています。

一番大きいのが、若年層の失業率の増加です。25歳未満の失業率は約23%。

4人にひとりが失業している状況です。といっても欧州全体で同様の傾向が認められているので、週35時間だけが原因ではありません。

ただ、短時間勤務だと、若者を雇用して“教育する時間を作るのが厳しいのもまた事実。マクロン氏が「35時間制を若者で廃止する」としたのも、こういった実情に基づいています。

2つ目の問題が、「生産性の低下です。これは雇用主が指摘していることで、マクロン氏が掲げた「柔軟性の拡大」も、企業ファーストによるものです。

つまり、現行法の原則25%増し=残業代をなくせば企業がもっと楽になる。

「実際、フランス人の週平均労働時間は39時間という調査結果もあるし、働く側も『もう少し働いて収入をあげたい』という要望も少なからず出てるからいいでしょ?」という趣旨の発言をマクロン氏はダボス会議で発言しました。

しかしながら、マクロン氏は週40時間は守る」と断言していますし、これまでのフランスの労働改革の歴史からみても、それ以上増えることはないと思われます。

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