いまや日本は世界から「環境への配慮が足りない国」と見られている

shima20171226
 

前回掲載の「かつて『汚い国』日本から脱却も、ふたたび環境後進国となった日」では、人々の努力で美しい国へと変貌を遂げた日本が、最近になってパリ協定に出遅れ、世界各国から冷たい視線を向けられているという現状をお伝えしました。今回の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では、環境後進国の汚名を返上するために行うべき努力について考察しています。

日本は環境後進国に?

かつて環境先進国といわれた日本が、いまや後進国の地位に甘んじている。経済先進国の集まる経済協力開発機構(OECD)35ヵ国の中でも、いまや最下位クラスだし、他の基準をとっても日本は決して上位にはない。

例えばエール大学などが出している環境パフォーマンス指数も180国中39位(1位フィンランド)だし、世界経済フォーラムによる「2016年版国際エネルギー構造パフォーマンス指数(EAPI/126カ国)」では「環境への配慮不足が目立つ国」とされ、日・中・韓国とともに50位以下となっている。

決定的だったのは、2020年以降の地球温暖化対策の国際枠組を決めたパリ協定が2016年11月に発効したが、温室効果ガスの主要排出国が次々と批准し早期発効を後押ししたのに、日本は世界の動きに遅れ発効日当日の4日にようやく批准にこぎつける有様だった。実は温室効果ガス排出量が世界1、2位で世界の40%を占める中国とアメリカが9月に批准を発表、さらにインド、EUも10月初めに批准を発表した。ところが日本はこうした各国の動きをつかみそこね、出遅れたのだ。

55カ国、55%の発効条件は、中国やアメリカの参加で早まったが日本は貿易交渉のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を優先し環境よりビジネスを重視したかと皮肉られた。このため、日本は協定発効後最初の締約国会議(COP22)では議決権を持たないオブザーバーとしてしか参加できなかった

日本は1990年代の環境会議では旗振り役で97年に締結された京都議定書づくりでは議長役を務めた。しかもCOP22は、京都議定書後の国際的環境条約の枠組みをつくるもので、地球温暖化が深刻化する中で極めて重視されていた。実際、批准国は93カ国、66%に上りインド、ブラジル、メキシコなどまでが早々と批准していたのに日本は出遅れたのだ。

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