深夜に急転。安倍総理の裁量労働「撤回」を新聞各紙はどう伝えたか

 

柔軟路線にカジを切った?

【読売】は1面トップに関連記事は3面と4面。見出しから。

1面

  • 裁量労働 今国会は断念
  • 政府 働き方法案分離
  • 予算案 衆院通過

3面

  • 労働データ 政府防戦
  • 「裁量」分離へ
  • 異常407件 強気から一転
  • 目玉法案 首相つまずく

4面

  • 予算攻防 深夜の通過
  • 舞台参院へ 野党、徹底抗戦の構え
  • 「見せ場」の中継時 野党の質問時間減

uttiiの眼

《読売》は3面記事のリードで「厚生労働省のずさんな対応に目をつぶって『強行突破』を図れば、自民党総裁選や憲法改正に影響しかねないと判断した。目玉法案でのつまずきを最小限に留めたい考えだ」と書いている。《朝日》とは逆に、これで批判は収束し、安倍氏は再び力を得て総裁選で勝利し、改憲も年内発議にこぎ着けられるという明るい展望が開かれたかのような書きぶりだ。

《読売》の記事は、この間の答弁撤回から裁量労働制関連部分の削除にいたる出来事を押さえた上で、リードの記述をやや敷衍(ふえん)してこのように書いている。

「強引に正面突破を図れば、与党内の離反を招き、確実視されてきた秋の自民党総裁選で首相の連続3選に向けた流れが変わる可能性もある。ここで政治的体力を失えば、首相が悲願としてきた憲法改正の実現も遠のきかねない」と。早い話、総裁選に負け憲法改正も頓挫する可能性が出てくるということ。「政治的体力」とはまた随分曖昧模糊とした言葉を登場させたものだが、こうしたことが続けば、やがて本当の「体力」にも心配が出てくると暗示したかったのかもしれない。

1点、興味深いのは、二階氏についての読売の見方。予算案通過をわざわざ1日遅らせたのは与野党幹事長・書記局長会談で二階氏が「野党の話を聞こう」と言いだしたからだが、その背景に、「働き方改革関連法案を推しきろうとする首相官邸への不満もあった」(二階氏周辺の発言)という。そこはつながっていたのか…。

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