さらに、国交省の報告書の中から拾った数字として、大規模修繕工事にかかった一戸当たりの費用として、「75万円~100万円」が31%で最も多く、「100万円~125万円」が25%、「50万円~75万円」が14%。第1回目大規模修繕工事が、平均100万円、第2回目が平均97万9,000円第3回目以降が、平均80万9,000円と記載しています。
この具体的な金額について、直後より、いろいろご意見が寄せられてます。
- 1回「75万円~100万円」が一人歩きして、工事内容やマンションの特質による違いを無視して、工事代が高過ぎる、長期修繕計画の推定工事費が高過ぎるという人が現れ、かえって合意形成が難しくなる。
- 回が進むにつれ、工事内容も多くなるはずなのに、だんだん工事費用が少なくなるというのは納得いかない。
- アンケートの回答の金額自体に、コンサルや管理会社へのリベートが含まれているのか。
等々です。私もまだ報告書を分析し切れていませんが、朝日新聞の記事に対する反応が大きいので、記事の内容と、国交省発表の紹介を急ぎ書くことにしました。
不適切コンサル問題が取り上げられるようになってから、具体的な適正金額を知りたいという管理組合からの要望に応える形で、今回、国交省が調査結果を公表したのだと思います。
これまで、そういう質問をよく受けましたが、工事内容や建物の形状や状態を知らないで、数字を挙げることは、一人歩きが怖いので、皆が慎重にならざるを得ない面がありました。今回示された数字は一つの参考資料として意味があると思いますが、あまり、この数字に拘り過ぎるのも好ましくありません。
よりよいマンションにしていくためお金を掛けてバリューアップしていこうという意欲をそぐものであってもならないと思います。まずは、ぜひ、報告書本体を当たってください。そして、基本は、信頼できる専門家と一体になって、自分のマンションにとって適切な内容、金額の工事を実施することだということを忘れないようにしてください。そして、おかしいと思ったら、早めにセカンドオピニオンを。
- 無駄な工事が入っていないか
- 積算の数字が水増しされていないか
- 目立たないところで単価が大幅に高くなっていないか
を見てもらって下さい。
そして、国交省も言っているように、公的な相談機関を活用してください。前にも書いていますが、公益財団法人「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」では、無料で積算内容のチェックもしてくれます。
それにしても、よくも悪くも、新聞記事とテレビ報道の影響力にはびっくりします。また、この問題については、様々なご意見を踏まえ、書きたいと思います。
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