■ティア<2485>の中期経営計画
2. 重点施策の続き
(2) TLD領域の拡大及びグループ間連携の強化
同社は、「ティアの会」会員や提携団体の顧客に対するLTV(ライフタイムバリュー)の最大化を図るため、未来開発事業本部においてTLD領域における新規事業の開発を積極的に進めている。2025年9月期より新規サービスとして、介護付き有料老人ホーム紹介サービス※1、高齢者等終身サポートサービス※2、空き家活用サポートサービス※3を開始した。今後も顧客(故人やその遺族)のライフステージにあわせて、生前準備・葬儀・葬儀後に至る各段階で関連するサービスを提供していく。なかでも不動産などの相続に関する相談が多いことから、不動産・相続サポート事業を2026年4月に新設したティアネクストに移管して注力する方針であり、関連事業の売上高を2025年9月期の約8億円から5期で1.7倍に拡大する計画である。主にはリノベーション再販事業を拡大する計画である。
※1 老人ホーム紹介サービスを手掛ける会社にFC加盟し、「ティアの会」会員向けに入居案内を行うとともに、医療機関や居宅介護支援事業所に法人営業を実施する。契約期間に応じて売上を計上するため、収益への貢献は限定的であるが、「ティアの会」と同様に顧客との事前関係を構築する役割を担う。
※2 病院への入院や介護施設等への入所の際の手続き支援、日用品の買い物など日常生活の支援、葬儀や死後の財産処分などの死後事務を、家族や親族に代わり支援するサービス。収益への貢献は介護付き有料老人ホーム紹介サービスと同様に限定的であるが、顧客との事前関係を構築する役割を担う。
※3 オーナーに代わって空き家を借上げ、同社が運用代行するサービス。
また、グループ間連携強化の取り組みとして、商品開発やユーザビリティ向上など、総合的なマーチャンダイジングを推進しており、加えて葬儀付帯業務の内製化による外注費の削減、グループ物流体制の構築などに取り組んでいる。物流センターについてはBCP対策もあって、2025年9月に東海エリアに第2センターを開設し、東海典礼の物流拠点としても活用している。今後は関西にも物流センターの開設を検討している。
(3) 計画に則した人財確保・育成とエンゲージメントの向上
人財戦略については、人財の確保と育成、働く環境の整備を重点項目と位置付けて、取り組みを推進する。人財確保については、多様化する採用環境に対応した施策を積極的に推進し、「ティアアカデミー」の教育カリキュラムを八光殿や東海典礼に展開することで、グループとしての営業力の底上げを図る。また、新卒採用については、同社が年間20名、八光殿が同10名、東海典礼が同5名の合計35名のペースで採用を続ける計画だ。同社の2026年春の新卒入社は28名となり計画を超過した。ここ数期における採用力強化に向けた取り組みが奏功した結果である。また、離職率については入社3年後で30%を目標としており、足元でもこの目標圏内を維持している。
(4) 上場会社グループとしての体制構築と潜在的なM&Aニーズの掘り起こし
ブランド戦略として、同社は八光殿及び東海典礼、ティア北海道のPMI(M&A後の統合プロセス)を推進しており、グループとして資本市場から適正に評価されるよう、積極的なPR・IR活動を継続する方針である。
M&A戦略については、業界での競争激化が続き大手企業の寡占化が進むなかで、同社においてもFC展開とともに成長戦略の柱の1つとして推進する考えだ。八光殿及び東海典礼のM&Aから2年余りが経過し、PMIのノウハウもある程度蓄積されてきたことから、条件に適う案件であれば前向きに検討する方針だ。
また、同社はYouTubeやTikTok、InstagramなどのSNSを活用したプロモーション活動も展開しており、創業30周年を機に本格派ショートドラマ「最期の、ありがとう。」を制作し、YouTube等で2025年10月から2026年1月にかけて配信を行った。配信を通じて、葬儀業界についての理解を促し、働くことの意義を伝えることで採用面でのプラスの効果が期待されるほか、同社の葬儀におけるポリシーを伝え、終活について考える機会を醸成することで「ティアの会」会員数の拡大にもつなげていくことを目的としたものだ。採用面においては、新卒応募者の25%、中途採用応募者の50%がドラマを視聴したと回答しており、一定の成果が得られたとしている。
「ティア」ブランドの全国展開を目標に4つの戦略を推進
3. 中長期ビジョン
同社は、長期的な目標として「ティア」ブランドの全国展開を掲げている。現時点での全国シェアは店舗数ベースで約2%と限定的だが、地盤である名古屋市内では約28%とトップシェアを確立しており、この成功モデルをもとに、M&AやFC展開を通じて、全国展開を推進する方針である。
2023年9月期までは同社単体での事業展開にとどまり、経営リソースが限られていたため成長率も1ケタ台にとどまっていたが、2024年9月期に実施した2件のM&Aを機に成長戦略を見直し、「直営」(中部地区における堅牢な体制を構築、関東エリアでのドミナント展開とエリアの制圧)、「FC」(FC会館収益化、既存商圏出店強化、関東・関西地区でのFC展開、ブランドスイッチの推進)、「M&A」(グループシナジーの創出、財務基盤の強化・M&A戦略の推進)、「D&I(企業連合)」(理念に共感する企業との関係性構築、企業連合として葬儀業界への影響力拡大)の4つの戦略を推進することで、今後は成長スピードを加速していくものと期待される。
直近の葬儀件数は減少局面にあるものの、潜在需要は2040年頃まで緩やかに増加する見通しに変わりなく、サービスエリア拡大による成長余地は大きい。価格競争を仕掛ける新興葬儀社もあるが、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」をスローガンとし、顧客に対して価格面だけでなく終活サービスなども含めて満足度の高いサービスを提供することで、今後もシェアを維持向上していくことは可能と弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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