■明豊エンタープライズ<8927>の事業概要
不動産開発事業を主軸に、不動産賃貸事業、不動産仲介事業、建設事業を展開している。主要ブランド「EL FARO」「MIJAS」「LOS ARCOS」の開発から売却まで行う不動産開発事業が、2026年7月期売上高の82.8%を占める収益の柱であり、そのほか不動産賃貸事業は同4.5%、建設事業が同12.5%、不動産仲介事業とその他はあわせて同0.2%となる。集合住宅・共同住宅の開発を通じ、それを売却することで個人投資家あるいは機関投資家と同社の双方でシナジーを得られる事業を展開している。投資用不動産については、金利動向に不透明感があるなかでも、円安等を背景に、海外投資家の国内不動産に対する注目度は高く、需要は堅調に推移している。でき上がりが「EL FARO」の場合は約5億〜15億円の規模、「MIJAS」については1億〜10億円前後、「LOS ARCOS」は10億円以上の高付加価値モデルをレンジとしている。
1. 不動産開発事業
(1)「EL FARO」事業
40坪〜80坪程度の土地を取得し、そこに柱や梁を設けず、基本的に壁だけで荷重を支えるような鉄筋コンクリート構造「壁式RC造」の賃貸マンションを開発する。柱・梁がないため、建物の内部空間が広く使用できるというメリットがある。スペインの街並みを思わせる重厚な外壁と華やかな色使い、ロートアイアン調(錬鉄風の飾り)をはじめとする素材により、スペイン建築の風格を演出する。また、標準設備として各戸別Wi-Fiをマルチメディアコンセントに内蔵するなど、数多くのマンションプロデュース実績に基づく上質な仕様・設備を採用することで、分譲マンションレベルの設備・仕様による差別化を図っている。
これらのコンセプトで開発した賃貸マンションをリーシング(賃貸物件の借主募集から契約・入居までのサポート業務)したうえで、収益物件として投資家に販売する。また、2025年4月に竣工した「EL FARO 南麻布」では全戸にホームIoTを導入し、入居時からエアコンの自動起動のほか、アプリを通した給湯器や照明の操作等を可能とし、利便性向上を図っている。
(2)「MIJAS」事業
梁や柱などの骨組みに鉄骨を用いた「S造(鉄骨造)」の建物を展開する。スペインの観光地ミハスに由来した、新築一棟投資用賃貸住宅のアパートメントで、建物の漆喰の白と青い海と空が美しいコントラストを織りなすミハスの街並みをイメージしている。共用部の照明にもスペインのデザインを取り入れて空気感を統一しているほか、カラフルな配色のなか明度は統一性を持たせることで、落ち着いた雰囲気を醸し出している。鉄骨造による2〜3階建の低層タウンハウスであるため、住戸構成はシングル向けタイプ(1K)〜ファミリー向けタイプ(1LDK〜2LDK)となり、標準設備として各戸別Wi-Fiをマルチメディアコンセントに内蔵しているほか、メゾネット空間により差別化を図っている。用地として路地状敷地・不整形地・袋小路敷地などに対応し、デザイン性を強く意識したアパートの開発であるため、リーシング提案したうえで投資家などに販売する。
(3)「LOS ARCOS」事業
「EL FARO」「MIJAS」と同様に、スペインの伝統的な建築様式をモチーフにしたデザインコンセプトを採用している。ブランド名の「LOS ARCOS」はスペイン語で“アーチ”を意味しており、その優美な曲線は、単なる意匠にとどまらず、人と人、あるいは物件と社会を緩やかにつなぐ「架け橋」を象徴する。これまでの2つのシリーズが築いた実績を礎に、さらなる高付加価値化と物件規模の拡大(1棟当たりの価格は10億円以上)を図った新築一棟投資用マンションの旗艦モデルである。RC造・中層建築というスケールメリットを生かし、エレベーターやバルコニーを完備することで、従来のシリーズを上回る居住性能と資産価値を形成しており、10億円以上の大規模投資ニーズにも応えるアセットクラスと位置付けられている。2026年4月に第1号物件である「LOS ARCOS 千駄木」の売却を完了した。
2. 不動産賃貸事業
既存オーナーの利益を最大化するため、エリアマーケティングに加え、AI査定システム及び成約事例に基づいたベストな賃料設定、首都圏仲介会社とのネットワークを生かしたリーシング戦略の提案によって空室解消に注力し、同社グループの管理物件における高稼働率を実現している。利回りは開発したロケーションにより変わるが、開発エリアやその沿線・駅により狙える賃料や募集期間に関するデータについては、入居者募集から申込、賃貸借の契約手続き、入居者対応、解約精算、原状回復工事の手配まで、一気通貫で賃貸経営のサポートを行う(株)明豊プロパティーズが蓄積しているため、賃料の出し値を間違うことなく、計画の立案が可能となっている。
またオーナーとの情報交換アプリを導入し、CS(顧客満足)アンケートを実施するなど継続的な情報共有・情報交換を図っている。主要ブランドである「EL FARO」「MIJAS」「LOS ARCOS」シリーズについては、商品づくりから管理まで同社グループにてワンストップで提供することにより高品質・高稼働率を維持し、収益性の高い投資用不動産商品として評価を得ている。これにより、一棟投資用不動産シリーズのリピート購入につながるなど、グループ内の相乗効果を発揮している。また、子会社(株)ハウスセゾンエンタープライズは、京都市内と滋賀県南部を主な事業エリアとし、地域に密着した建物管理、入居斡旋、資産活用、売買など、不動産に関する幅広いサービスをワンストップで提供する。
3. 建設事業
同社の建築設計部門と、明豊プロパティーズから分割承継した建築工事請負部門が合流して誕生した総合建設会社である(株)明豊エンジニアリングにおいて、同社グループの主力商品である投資用賃貸マンションや投資用賃貸アパート「MIJAS」の企画・設計・施工を行う。また、2022年8月に子会社化した協栄組は、鉄筋コンクリート(RC)造に特化した建設会社である。高い技術力による高精度な型枠施工を強みとしており、設計事務所と連携しながら、マンションから公共施設まで幅広い建築物の施工を手掛けている。
4. 不動産仲介事業・その他
不動産開発事業など他事業を含めた独自の情報網を活用し、顧客ニーズにあわせて物件紹介を行う。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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