アメリカはどう動く?二つの戦略
さて、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリア、韓国、イスラエルなどなどがアメリカを裏切って中国についた「AIIB事件」。
アメリカはこれで、「中国の影響力は、ここまで増大していたのか!?」「このままでは、中国に覇権をうばわれる!」「わが国最大の脅威は、中国である!」と悟った。
そして、アメリカは、中国への対抗措置をぼちぼちはじめているようです。
しかし、私たちは、「アメリカの対中戦略には大きく二つあること」を知っておく必要があります。
二つとは?
1、バランシング(直接均衡)
これは、要するにアメリカ自身が「主人公」になって、中国の脅威と戦うのです。
2、バックパッシング(責任転嫁)
これは要するに、「他国と中国を戦わせる」のです。もっとわかりやすくいえば、「アメリカは、日本と中国を戦わせる」のです。
あくまで可能性ですよ。
しかし、実をいうと、どんな国でも「敵国と直接対決するより、他の国に戦わせたほうがいい」と思う。なぜ?
リアリストの世界的権威ミアシャイマー・シカゴ大学教授は言います。
事実、大国はバランシングよりも、バックパッシングの方を好む。
なぜなら責任転嫁の方が、一般的に国防を「安上がり」にできるからだ。
(大国政治の悲劇 229p)
「アメリカが直接戦うより、日本に戦わせたほうが安いじゃん」。ひどい話ですが、わかります。また、人情とか世論からいっても、わかりやすいです。
たとえば日本人2人が、イスラム国に殺された。これは、とてもショッキングな大事件でした。
しかし、他国の人たちもイスラム国につかまって殺されてますよね?
そのとき、日本国内のメディアは、ほとんど騒ぎません。ほとんどの人は、「自国の青年たちを戦場に送りたくない」と思う一方で、「他国の青年たちが戦争していること」に無関心。
何がいいたいかというと、アメリカだって、中国と直接対決したくない。できれば、中国とケンカしている、ベトナム、フィリピン、日本なんかに戦ってもらって、自分は気楽に過ごしたい。
そういうものなのです。