なぜ日本は、中国を挑発してはいけないのか?ハシゴを外された韓国の悲劇に学ぶ

 

アメリカのこれまでの対中政策は、「バックパッシング」か?

上にも出てきましたが、世界情勢を知るうえで、ぜひとも読んでいただきたい一冊があります。

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『大国政治の悲劇』ジョン・J.ミアシャイマー (著) 奥山 真司 (訳) 五月書房

再臨の諸葛孔明・奥山真司先生の訳で出ています。(ちなみに、再臨の諸葛孔明・奥山真司先生の無料メルマガはこちら

大著なので少々高いですが、その価値はおおありです。

さて、この本の中で、ミアシャイマーさんは、「バックパッシング4つの方法」(=つまり他国を利用して敵国と戦わせる方法)について触れています。

全部引用すると長くなるので要点だけ。

1、敵国と良い外交関係を結ぶ

つまり、アメリカは中国と良い外交関係を結ぶと。なぜ?

そうすると、日本と中国だけが戦って疲弊。アメリカは、「漁夫の利」を得ることができます。実際、アメリカは今まで、「同盟国日本より中国を重視して見える」ケースがよくありました。

もちろん「リベラル米民主党は、もともと親中」とか「米財務省は親中」とか、そういう理由もあるでしょう。しかし、「戦略的に動いていた」とみることもできます。

2、敵国と対立する国とあまり仲良くしない

つまり、敵国である中国と対立する日本とあまり仲良くしない。これも、基本的に1と目的は同じです。

日本と中国は戦って疲弊し、アメリカは無傷で残る。

オバマさんは、AIIB事件と安倍演説まで、日本に冷たかったですね。「安倍さんを歴史修正主義者と警戒していた」という理由もあると思いますが、「戦略的に距離をおいていた」とみることもできます。

3、自国の軍事力を強化する

たとえばアメリカ軍があまりにも強力である。

すると中国は、「アメリカにはかなわんから、とりあえず日本をいじめよう」となるでしょう。

実際は、日本もそれほど弱くない。だから中国はいま、「とりあえずベトナムやフィリピンをいじめよう」となっている。

4、敵国と戦う他国をサポートし強化する

つまり、アメリカは、中国と戦わせたい日本、ベトナム、フィリピンなどが強くなるようサポートする。

たとえばアメリカは今、ロシアと戦っているウクライナ軍が強くなるようせっせと武器を送っている。

オバマ政権はいままで、1と2の戦略を実行し、「日本と中国をケンカさせ、アメリカが漁夫の利を得る」よう行動していたようにも見えます。

しかし、AIIB事件でイギリス、ドイツ、フランス、オーストラリア、イスラエル、韓国などに裏切られて孤立した。

それで、いよいよ「バランシング」(直接均衡)に動き出したように見えます。

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