「言い値」の悪用
【毎日】は1面トップに持ってきた。関連して2面の解説的な記事、6面経済面、そして社会面にも。見出しを以下に。
- 三菱自 燃費データ不正
- 5~10%上乗せ
- 提携先の日産が指摘
- 燃費試験 「言い値」制度悪用
- 「ユーザー離れ確実」
- 三菱自不正 海外向けも調査
- 「何を信じたら」
uttiiの眼
1面トップの割に関連記事が薄いように見えたが、そうでもなかった。2面の記事が説明する「偽装の手口」は、少なくとも《朝日》や《読売》のそれよりも分かりやすい。
走行抵抗値の偽装というところまでは他紙と同じ書き方。その先がこうなっている。
カタログに載せる燃費性能は国土交通省の審査で決まるが、その基になる走行抵抗値はメーカーの届け出数値が採用される。
さらに、
国は国の施設で行う走行試験データに、メーカーから提出された走行抵抗値を掛け合わせるなどして燃費を算出。三菱自はメーカーの言い値が採用されるこの仕組みを悪用した。
という。ここまで説明されれば、この偽装が意外と簡単に行われてしまった理由がよく分かる。
また、《毎日》の社会面記事は異彩を放っている。この問題でインターネット上にも辛辣な言葉が書き込まれたとして、「もう車を作らないでほしい」というような意見、あるいは「震災報道に隠れることができるかもという考えが見え隠れ」など、公表のタイミングを問題視する声、「他のメーカーも実際の燃費はカタログと違う。当てにならない」と、自動車業界全体に対する不信まで書き込まれていたとする。まあ、この手の情報に頼る場合は、本筋の取材がうまく行っていない時が多いような気がするが、言われていることは事実に相違ない。
私も、燃費性能が著しく高いことが売りの小型車に乗っているが、実際の燃費は、カタログ的な燃費性能の半分強といったところ。それでも、昔の車に比べれば大変な高燃費で、「燃費が悪い」とは言いにくい。しかしながら、カタログの数字を競い合うことは単に馬鹿馬鹿しいだけでなく、本当に価値の高い車を作る上で障害になっているケースさえあるのではないだろうか。車の性能は燃費ばかりではないだろうから。