この会社の専務の発言が問題であることは、おそらくみなさんも感じるところでしょう。実際に、この裁判でも専務に対する損害賠償請求が認められています。
問題は「盗撮」です。
これは、会社が社員に指示をしたわけではなく社員が勝手に行ったことです。会社はそれについても責任を負う義務があるのか?
裁判では、これについても会社が負けました。会社には、「労働者のプライバシーが侵害されないよう職場環境を整える義務がある」と、認められたのです。
そこで実務的に気をつけるべき点がふたつあります。まずひとつ目が、そういったことが起こらないように常に社員を啓蒙し続けることです。
具体的には、
- 社員研修を行う
- 定期的に朝礼や社内ミーティングで言い続ける
- 就業規則に懲戒事由として定め、しっかりと社員に周知する
などです。そしてふたつ目が、もし不幸にして起こってしまった場合は迅速に誠意をもって対応することです。今回の裁判例では、盗撮の事後対応が悪かったことが会社が負けたひとつの要因になっています。
また、これらを行うことは、「問題を未然に防ぐ」「最小限に抑える」という効果だけでなく社員の安心感にもつながります。問題が起こってからあわてて行うのではなく、今のうちからきちんと対策をとるようにしておきましょう。
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企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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