ポケモンGOの世界的ヒットから、中小企業でも学べること

 

ポケモンGOが浸透した理由

ではなにが理由で、このようにポケモンGOが一気に浸透したのでしょうか? マーケティング的に「何を、誰に、どうやって」の順で考えてみます。

まず、「何を」にあたるゲームそのものはどんなものか、という点です。注目すべきは「ゼロから開発したコンテンツではない」という点です。ポケモンそのものも、GPSを使ってのVRやAR(拡張現実=Augmented Reality)も既存のものです。今あるモノをくっつけての、新製品開発です。これを、経済学者のシュンペーターは「新結合」と言っています。

身の回りでは、電話とネットと音楽プレイヤーをくっつけた、「スマートフォン」も新結合ですし、大福にいちごを入れた「イチゴ大福」や、私の地元名古屋の名物「ひつまぶし」も、うな丼とお茶漬けの合体です。既存のモノ同士をくっつけると新しい顧客価値ができるのですね。ブルーオーシャン戦略も、この考え方で、新規市場を創り出すと説いています。「シルクドソレイユ」も、サーカスと演劇の合体ですよ。

新結合のよさは、「どちらも既存の製品なので、みんなが知っている」という点にあります。世の中にない、全く新しい製品をゼロから開発すると、誰も知らないので、「その良さを最初から全て教えて」あげなければなりません。企業側も、周知のためのマーケティングコストがかかり大変ですし、ユーザー側もピンとこないため、浸透に時間がかかります。ポケモンGOの新結合を例にとってみると、ポケモンそのものと、ARやGPSを使ったゲームは、どちらも、世の中にあるためキャラをいちから開発する必要もなかったでしょうし、ユーザーも、すぐにこのゲームの楽しさを想像できたでしょう。

新結合による、企業側にとってのメリットは、それぞれの顧客が新しく取り込める、いわゆる新規顧客獲得になるということです。ポケモンGOの場合は、ポケモンファンと、スマホゲームファンがどちらもゲームをするわけですから、ポケモンだけ、スマホゲームだけしかやっていなかった層が来ることが期待されます。

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