『シン・ゴジラ』は見る価値あり?映画野郎がネタバレなしの緊急トーク

 

それで今回の『シン・ゴジラ』の何が俺たちを驚かせたのか、どこが素晴らしかったか具体的中身を語っていきましょう。自分がまず、何にびっくりしたかといって、ストーリーがあくまでも政府対応に絞られている、政府の災害対応シミュレーション映画になっているところ。しかもその展開が実にリアルなんだよね。

小川:まさしくそこですよ!昭和29年公開のオリジナル『ゴジラ』から昭和40年代辺りまでの怪獣映画ブームの時に一番多かったパターンは主人公が考古学や海洋学の若い博士や学者、冒険隊というパターンなんですよ。

あと、昭和59年に公開した『ゴジラ』で主人公が内閣総理大臣になって、攻撃が自衛隊と、今回のスタイルに一番近いんですけど、正直あんまりリアルに感じられなかったし、自衛隊が使っていた兵器もスーパーXだとかなんとかレーザービームだとか、架空の兵器丸出しだったんですよ。ボク、これを当時小学校3年生で観て、正直中途半端なリアルさに即飽きましたね。庵野総監督はそこを徹底的に直しましたよ。主人公は内閣総理大臣(今回は大杉漣)ではなく官房副長官でしたけど、そこに「現代というのを強く意識しました。

原口:怪獣映画でのリアルさだけど、『ガメラ 大怪獣空中決戦』に始まる平成ガメラシリーズがけっこう大人向けのリアルなアプローチで、その当時でも評価高かったよね。自衛隊の活躍ぶりとか、連想するところも多い。だけど、その平成ガメラの大人向けコンセプトをさらに極端に推し進めたようなリアルさで本当に圧倒された

小川:いまさらながらですが、「平成ガメラ三部作」の大人向けアプローチは昭和59年版『ゴジラ』と、それ以降のゴジラとその他怪獣による怪獣プロレス路線に戻った『ゴジラ』シリーズへの当て付け、というかカウンターですよ。

KANTOこれがかつて空想映画と言われたジャンルか?と疑うほどでしたね。僕は公開2日目の土曜日の朝、立川シネマシティの極上爆音上映で観たのですが、そこで初めてロビーにかけてあるポスターを見たら、「現実 対 虚構」と書いてあった。庵野秀明がこだわったのは正にその一点だった訳ですね。

小川:なるほど、庵野秀明流に言うと「現実 対 虚構」ね。そういう風に言うと「エヴァっぽいですね。

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