ノーベル賞受賞・大隅良典氏が教えてくれた1勝9敗からの成功

 

まずは生き残ることが大事

ところで、「まずは生き残れ。儲けるのはそれからだ」という言葉があります。世界一の投資家とも言われるジョージ・ソロス氏が述べたとされる言葉です。ビジネスで成功するためには、まずは「生き残ることが大事」と主張しています。

特許に守られた最新の技術を保持している、誰も参入したがらない市場に位置している、莫大な投資資金をもっているというのであれば、生き残るという守りの姿勢ではなく勝ちにいくべきでしょう。しかし、そうでないのであれば勝つことよりも負けないこと、つまり生き残ることの方がはるかに重要です。

ユニクロを率いる柳井正氏の著書に『一勝九敗』(新潮文庫)があります。タイトルの通り、経営というものはせいぜい1勝9敗程度です。1割の勝ちを得るためには、9割の負けを体験しなければならないのであれば、その9割の負けに耐えることが必要です。

これはビジネス以外の分野、たとえば歴史でもよく当てはまることです。織田信長を例に挙げます。

織田信長といえば、桶狭間の合戦で少数の軍勢で大軍の今川義元を奇襲して勝利を収めたことで有名です。この桶狭間の合戦の印象が強いので隠れがちになっていますが、実は織田信長はそれ以外の合戦のほとんどは負けない戦をしかけています。

桶狭間の合戦のような一か八かの戦を仕掛けていません。相手よりも必ず多勢になるときだけしか戦を仕掛けていないのです。大負けしないことを肝にしていました。

織田信長は実は慎重派だったのです。その慎重派の信長でさえも、少しの油断で本能寺の変という大負けを喫してしまったのは歴史の皮肉ではありますが。

いずれにしても、まずは負けないことが大事です。負けずに生き残っていれば必ずチャンスが巡ってきます。そのチャンスが巡ってきたときには、そこは逃さず勝ちにいくべきです。

まずは生き残ることが大事です。儲けるのはそれからです。儲けるためには生き残る必要があります。生き残るためには我慢強くコツコツと経営をしていかなければなりません。

言葉で言うのは簡単ですが、「我慢強くコツコツと経営をする」というのは非常に難しいことです。数ヶ月程度ならともかく、数年という単位でコツコツと経営を行うというのは根性論でできるようなものではないからです。

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