東京メトロ1000系の新車発表会に参加。中野車両基地へ入ってきた

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鉄道と旅についてのあれこれ、旅行記などをビデオ映像、音声、写真などを交えてお送りしているメルマガ『旅鉄』。元テクニカルライターにして、某大手電気メーカーに10数年勤務していた同メルマガ著者の山岡鉄男さんが、MAG2 NEWSのために今年1月某日、普段はなかなか入ることができない中野富士見町の東京地下鉄「中野車両基地」で行われた、東京メトロ1000系の新車発表会を取材してくれました。どんなレポート&映像&画像を届けてくれるのでしょうか?

東京メトロ1000系

さて今回は、新車発表会に行って参りました。

筆者の世代なら、東京地下鉄と言うとラーメンの鳴門のような(笑)マークが思い起こされるが今はMマークになっているらしい。

懐かしさを感じる旅として、楽しみました。はい。

今回は、出先から新幹線で東京に向かったので、こだま楽旅・IC早特と言うおもしろ企画切符を使うとグリーン車がほとんど普通車の運賃で乗れるので、それを使用。

9号車7番D、山側なのは眠りたいから(笑)。

御殿場からの移動だったので、山北発三島ゆき、と言う御殿場線列車が便利。

すぐに品川についてしまい、もったいないけれど朝の時間は普通車指定席がないので、仕方ない。

普通車自由席でもいいが、眠れる雰囲気ではない(笑)。宮脇俊三先生ではないが、鉄道と睡眠は筆者の好みでもある。

品川で乗り換えたが、後で考えると東京まで行って中央線で新宿(か、四谷)まで行って東京メトロに乗り換えた方が良かったようだった。ただ、東京駅が混雑するので混雑緩和に協力した、と言う訳である。

新宿でメトロに乗り換えて、中野坂上でまた乗り換え、車庫へ。地下鉄漫才にある(若い人は知らないかw)電車を入れるところ。

中野富士見の駅から3分。

駅前でカメラを下げているおじさんが、地図を見ているので「車庫行くんですか?」と訪ねるとニコニコと返答されたのだけど、鉄道雑誌の人だったらしい(笑)。

左へ行くんでしょうね、と、彼。

神田川のほうかな? 中野区方南町、神田川、と言うと青春ドラマで人気のあった「俺たちの旅」のいろは食堂があったあたり、と(若い人には・・・w)。

この川、主人公たちが清掃をしたシーンを思い出す。なんでもない事だけど、みんなの役に立って働こうと言う若者らしい感覚が心を打つ。お金は貰うけど、感謝されてお礼として貰うので爽やか、鉄道に似た印象を覚える筆者である。

 

始発や終電の間に寝るところで国鉄職員が家族に居ると、これは感覚で判るが大変なものだから外にこういう施設がある。

上野だと線路沿いにあったけれども筆者も何度か泊まった記憶がある。

昭和40年代の事で、エアコン完備、お風呂も24時間。

ご飯も安価(50円くらいだったか、カップヌードルが100円の時代である)。

それで一汁三菜。

夜行列車とはいえ、特急乗務員くらいになると

そのくらいの待遇。

かたや、貨物列車の普通、などというと線路脇の小屋だったりする。

これは本当で、一般職から入った人はそこから叩き上げて、特急乗務員になったりした人も居た。

それなので、管理職になっても現場の苦労が判るから、現場が働き易かったのだ(管理職が皆、そうだったので)。

そんな過日を思い出す。

今も、たぶん鉄道はそうなのだろうと

ノスタルジーに浸る筆者である。

さて、入り口が見つかった。方南通りのほうだった。

 

 

報道各社、鉄道趣味雑誌、WEB系と様々。

みんな顔見知りらしい。

会議室は賑やか。

まあ、和やかな記者会見なので、物々しい雰囲気はない。

一旦外に出てから、車両基地へ向かう。

線路は広い幅。京急と同じかな?

躓きながら歩く。

開拓時代、荒れ野に敷くならこれでよかったのだろう。

鉄道はそういう時代のものだった。

今は、どこも平坦に舗装されている日本なので自動車が当然に走れるけれども

つい20年前までは、自動車でも未舗装路を考えて床の高さを決めていたと聞く。

 

 

電車の中は、温かかった。ありがたや。

内装は特別仕様なのだけど、イベント列車ではなくて普段も走る、との事。

1月17日から。

形は普通の1000系と同じで、仕上げが違うようだ。

木材のような表面も難燃材である。

網棚も硝子なのは、地下鉄故の火災対策の模様。

 

 

取材が一段落したところ、皆さんお疲れさま。

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主に内装についていろいろ聞かれていたが筆者はエンジニアなので、見れば判るから聞かない(笑)。

LEDは色が変えられるタイプの模様。

色が変えられる素子は、RGB3色の素子を持ち、組み合わせで色を表現できるタイプもあるし簡易的に、白から電球色に変えるようなものもある(黄色の補色なので青を使うのだろう)。

壁にある装飾用の非常灯はイベントタイプで本物は天井にある、と当然な事を述べておられたがLEDなら、兼ねることも可能だ。

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網棚ではなく硝子だった。地下だと燃えるから?

東横沿線だった筆者は、地下鉄直通運転が始まった頃、乗車した経験があるが、確かステンレス車の東急7000系(だったか)は、網棚では無かった記憶がある。

鉄の5000系(愛称: 青かえる、の渋谷駅前にあるアレ)は地下鉄に入れなかったようだったから床が木材、とかそんな理由もあったのだろう。

 

 

灯りは温かみのある電球色に変えられ、非常灯もデザインで作られた凝ったもの。

真鍮の色もデザインされたもの。楽しい技術である。

地下鉄なので普段はお日さまを浴びることもないのだろう、頑張る縁の下の力もち。

トンネルを小さく掘る為に架線を張らずに、足元に電気を通した面白い電車。

 

さて、映像撮りはものものしい。

ご苦労様。

いいお天気でよかった。

ヘッドライトもひとつにしたのは、デザインである。

お昼で終わり、お弁当でも出るかと期待したが出なかった(笑)。

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新しい車両は、レトリックデザインとニュー・テクノロジがテーマである。

それは、良い事である。

デザインの懐かしさは、人の心に安堵を呼ぶものであろう。

根拠は単純で、人は体験学習によって記憶を重ねて行くソフトウエアで動いているから、なので快い、安堵を覚える状態は自然現象の記憶で得られるのであろう。

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生まれる前に、感じた振動、音、感触はやわらかな、あたたかい、まるい、おだやか。

そんなものが多いだろうし、遺伝情報の中にある記憶は長い生物の歴史にある自然環境の記憶、である。

波形、と捉えれば周波数が観測されるが良く知られる1/fゆらぎ、なども難しく書かれているが単純な現象で、重い、大きいものは低い音、振動で軽く小さいものはその反対、例えば小枝や木の葉は軽い音を立て、地響きは低い、と言うような至って単純なものである。

学術とは、簡単な物を難解に書く仕事である(笑、筆者も関係者だが)

そんな風に、自然現象は割と心に優しいものなのでレトロ調デザインは、手作業主体だった工作の結果、自然な形状が得られた当時の工作技術によって得られたデザインである。

オール・アナログだった時代は、デザイン画も手書きであるから複雑な曲線・曲面を書くのは難しい。なのでヘッドライトは丸、車体は真っ直ぐか丸みを帯びた・・・となるのだろう(笑)。

デジタル作画なら、反対に自然を描くのが苦手である。

計算で曲線を見せているので(コンピュータの中では、多面体、直線があるだけだ)その数学的計算式にない曲線は作れない。つまり無機的になるのだ。

アニメーション作家の宮崎駿さんが、動きのデジタル化を模索して苦労されているそうだが、こんな理由に拠るもので(アニメは、人間の感覚に沿った動き、曲線を作る芸術で、数式にはできない)

手には、手の良さがあり、人の感覚に沿うもの。

電車の先頭部は、鉄板を手叩きで作ったのであるからつまり、自然な形になる。

金属の変形は、与える力によって起こる。

いわゆるヤング率とポアソン比であるが、これも単純に言えば与えた力で曲がるのがヤング、直角に起こる力がポアソン。

スルメをストーブで暖めると、伸びようとする力がヤングで丸まろうとするのがポアソン、とこう書けば誰にでも判るのだが(笑)そう書かないのが学術、である。

電車の先頭を、こんな力で丸めているので複雑な形を作れずに、自然にあるような形になっていたのだろう。

それが安堵を覚える。良い事だろうと筆者は思う。

色彩も同じで、自然にあるような色調は色の波長で言えば、一定の調和的法則が成り立っているし形状も同様である。

生き物が、長い歴史の中で記憶して来た法則性はなぜ、それを記憶したのかと言えばつまり、自然環境に無い音、色彩、振動は他の動物(つまり外敵)の存在を意味するものであるから、であろう。

そうして生き延びて来た生物が、人間であるので自然的なものに安堵を覚えるのは理論的である。

(対して、刺激的なものを作りたいと言う人も居るがそれは主に若いエネルギー、なのだろう。それもあって良いのだ)。

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さて、対してニューメカ、である。

機械は進化を重ねるので、新しいものが良い。

電車なのでモータの力を加減するために、電力を変化させるが古くは電気を流れにくくして、モータへの力を加減したりしていたが今では、半導体の性能が良くなり直接、モータへ与える力を加減できるようになった。

簡単に言うと、昔は自転車で言えば、ペダルを踏みながらブレーキを握って走っていた(笑)のが今は、自転車で走り出すとき、いきなり跨らずに片足でペダルを漕ぎながら地面を蹴って走り出す、あんな感じで少しずつ電力を与えて、走り出す。

それがインバータ制御である(と、学術書には書いていない。笑

PWM制御、と言うと そのペダルの漕ぎ間隔を幅、width で与えるだけ、だ。

至って簡単である。

今は、それが半導体で出来るようになったのだが半導体製造技術の進化。である。

ラジオで言えば、真空管しか無かった時代からトランジスタになった、そういう変革と同じである。

なので、機械の部分は新しい方が良いのだがニューメカ・レトロデザインは例えば自動車でも一定の人気のある企画でフォルクスワーゲンや、ポルシェ、などは好例であろうか。

(山岡鉄男)

 

山岡 鉄男『旅鉄』

『旅鉄』

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鉄道と旅についてのあれこれ、旅行記などをビデオ映像、音声、写真などを交えてお送りいたします。現在九州の旅紀行を連載しています。7月号は「ローカル気動車の旅~久大本線行ったり来たり(63)」と題しまして、(番外篇)旅の情報などについて14系15型「富士」ルポ・乗車記に絡めてお送り致します。バックナンバー2002/10~2003/1 583系"はくつる"24系"あけぼの"、南宮崎発「富士」西鹿児島行「はやぶさ」他

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