汗をかく外交の重要性
過去の日本の外交と比較して考えると、日本の国益に関して本気で動くということが大事だと思うのだが…。
例えば、田中角栄氏は資源外交として欧米の石油資本を敵にまわし、中東産油国と直接取引する道を開いた。この結果、アメリカの逆鱗にふれ田中氏は退陣を余儀なくされたが、日本の「中東外交」「油外交」の基礎を築いたといえる。また、中曽根氏はレーガン氏と「ロン・ヤス」関係をうんと深め、その結果日米摩擦を鎮静化させている。
現在、先に述べたように中国によって東南アジア諸国が分断されつつある。さらに中東ではそれぞれ日本と親しいイランとサウジアラビア両国が断交状態となっている。これらに対して日本が仲介したり、動いているという形跡はなく、この件に関しても汗をかくことがもう少し大事なのではないかと思う。
数字が示す首相の影響力…
数字から今の安倍政権を見てみるといまいちなところがある。先月発表されたフォーブス誌の「世界の人物影響力ランキング」で1位は「プーチン大統領」、2位が「トランプ氏」、3位が「メルケル首相」、4位が「習近平主席」などが続き…、「安倍総理」は37位。日本は世界第3位のGDP大国であり、安倍首相は100ヵ国も周っているのに影響力では評価されていない。これまで各国を周っていたのは単なるにぎやかしとパフォーマンスだけだったととられかねないので、もう少し頑張ってほしいという気がする。
今年は世界各国でトップが変わるタイミングで、世界がさらに右傾化が進む危険性もある。その中で安倍首相の動きは注目されるはずであるが…。
今年は、オランダ(3月)、フランス(4~5月)、ドイツ(9月)、イタリアも総選挙が前倒されて今年になる可能性もある。イギリスのEU離脱の話もどう動くのか…。
こういった中で、ただ周るだけでなく日本は何を考えているのかをもっとぶつけ、仲介できるところは仲介し、日本の存在感を示してほしい。
(TBSラジオ「日本全国8時です」1月10日音源の要約です)