テスト前の「ノート貸して」「ジュース1本ね」が正しかった理由

 

一つ目のメリットはおカネを払った、対価として何かを差し出した相手が、あなたから受け取る情報を価値あるものと想定、期待、認識してからその情報を受け取るからです。情報の価値って、その情報にどの程度の価値があるのかという事前の想定や期待感によって大きく変動するからです。受け取る前に、これは役に立ちそうだぞ、と思うと本当にそこから役に立つ情報を拾い上げるのです。

その意味では、「これは全然つまらない話なんですけど」という枕詞で話を始める人って損をしているんですよ。そのセリフを言った瞬間に、聞き手の方は「つまらない話を聞かされる」って考えるわけですから。反対に、「この喩えはメチャメチャ面白いんですが…」と言ってから説明すると聞き手の目が輝くのが分かります。

ですから、あなたの提供する情報の価値を高めるために、聞き手に事前にこころを整えてもらう必要があるんです。これはとっても有益で今の自分には必要な情報なのだ、と思ってもらってから話を始めると刺さり方が変わってくるんです。情報の対価はそのために必要なのです。受け取る代わりに何かを差し出す、そのことによって少なくとも差し出した対価と同程度の価値はあるのだ、と思ってもらえるわけですね。

セミナーで良く言うんですが、同じ話を聞くのでも、1万円支払って聞いた人はその話から1万円分の価値を見出すのです。同じ話でも10万円を支払って聞いた人はそこから10万円分の価値を見つけ出すんです。同じ情報を受け取っているのに、実は人によって手にする価値って全然違うんですよ。それがどこから来ているかというと、対価として差し出したものの価値だったりするんです。

じゃ、スタバの本日のコーヒーショートサイズじゃ200数十円の価値しか無いのか? という議論になりそうですが、これがまた違っていてそもそも友人に向かって、「教えて欲しければあそこのスタバでコーヒー買って来てよ」と言った瞬間に、相手の背骨がシュッとするんです。「え? なに? タダでは教えてくれないの?」ということが分かった瞬間に、その情報に価値を感じるんです。特に、親しい友人だったり、今まで対価を要求したことがなかった間柄ではこれは効くんです。

しかしこのスタバのコーヒーというやり方は、不特定多数の人には全く効果ありませんから。例えばセミナーみたいなケースではストレートに支払ってもらう金額の多寡が相手が心の中で作る価値のイメージに直結します。ここでスタバのコーヒーで良いですよ、みたいなことをやると、「なんだ、スタバのコーヒー分の価値しか無いのか」って思われちゃいますから注意してください。

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